電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

ベースマガジンの電書化

『ベースマガジン』という月刊誌があります。その名のとおり、ベーシストのインタビューやベースに注目したライブレポートなど、1冊まるごとベースについて書かれています。

いまでこそ東京事変などで活躍する亀田誠治さんやあちこちに引っ張りだこのKenKenなどベーシストが注目を集めるようになりましたが、一昔前はベースなどまったく目立たない存在でした。

「ベース?何かボンボン弾いてるアレ?」と言われるのがオチで、目立つのはヴォーカルやギター、ドラムばかり。本当は最も重要な存在であるにも関わらず、誰もやりたがらないパートがベースです。

そんな日陰の存在だったベーシストを狂喜乱舞させたのがベースマガジンです。創刊したとき「まさか1冊まるごとベース、しかも月1で発行するほどネタがあるのか」と心配しました。

ギターマガジンやキーボードマガジン、リズム&ドラムマガジンなど、その他の楽器の月刊誌はもちろん既にありましたし、ベースマガジンはそれらより若干、薄めでした。

しかし、厚い薄いはともかく、1冊まるごとベースだけを取り上げた月刊誌を創刊したというところに意義があります。

市販の譜面といえばJ-POPか超有名洋モノ、クラシックばかりで、私が好きなフュージョンやアシッドジャズ、ジャズファンクはCDを聴いて自分で譜面に書き起こすしかありませんでした。

しかも、いまのようにYouTubeなどありませんし、教則ビデオも数が少なく高価でした。聞き取りにくいフレーズもとにかく繰り返し聞き、必死でコピーしていました。

ベースマガジンはそのように苦労していたベーシストの救世主で、一般的には無名でもベーシストの間では超有名なプレイヤー自身による奏法解説や譜面を掲載してくれていました。

たまに実際のプレイを録音したCDが付録として付き、誌面上でコマ送りのように手元の写真を載せ、付録CDと連動して解説してくれた記事は本当に役に立ちました。

いまだったらYouTubeへのリンクを貼って終わりでしょう…。

www.rittor-music.co.jpそんなベースマガジンがついに電子書籍化されました。紙媒体に携わる者としてこれには時代の流れを感じ、少し寂しくなりました。

雑誌の電子書籍化は珍しくありませんし、かさばらないので読者にとって便利です。付録CDなど付けなくとも、記事内にYouTubeへのリンクを貼り、クリックすればすぐデモ音源を聞けるでしょうし。

いま一緒にバンドをやっているサックスやキーボードも、紙ではなくiPadで譜面を見ています。アマチュアバンドでもいまやすべて電子です。

ただ、ベースマガジンの電子書籍化は妙に寂しくなりました。ページがくっついてしまってめくるのに苦労したことや、何度もめくってボロボロになったこと、朝から晩まで飽きずにベースを弾いていたことを思い出しました。

紙媒体は需要がないのか、このまますべて電子媒体になってしまうのか、これが進化というものなのか。紙媒体の在り方を考えさせられます。