電車の中の恋人

悠々自適なアラフォー独身貴族の日常

選挙戦は文字通り“いくさ”

「ご無沙汰してます、ずずずです。はい、何とか元気にやっています。いえ、記者は数年前に辞めて、いまは外資にいます。ところで、お願いがあるのですが」

私の幼なじみがとある市の市議会議員をやっています。政治の世界は厳然たる身分制度です。国会議員を頂点とし、次に県議会議員で、市議会議員は最下層になります。

市議会議員にとって、自身の選挙区の国会議員県議会議員は親分であり、それぞれの選挙のときには雑用として駆り出されます。

幼なじみは自民党系で、自身の選挙区から出馬している候補者の応援に連日、駆り出されているのですが、他の候補者と拮抗していて予断を許さない状況だそうです。

幼なじみの選挙区から出馬している候補者は、全国でもニックネームを言えば「知ってる!」と言われるぐらいの人です。前回は次点に大差をつけて当選しました。

しかし、地方はともかく都内や神奈川県は小池百合子フィーバーに見舞われています。独自調査で落選の可能性が弾き出されたとのことで、候補者も幼なじみも尻に火がついたようです。

幼なじみが初めて出馬したとき、私は選挙参謀を担当しました。正直言って選挙のことなどまったく分かりませんでしたが、新聞記者だったので顔が広く、それを買われて頼まれました。

そのときにとてもお世話になった方がいました。その地域で絶対的な信頼を寄せられている方で、今日の午前中に幼なじみから電話があり、その方との間を取り持ってほしいと相談されました。

その方はもちろん反社会的勢力などではありませんし、非合法なことに携わっているわけでもありません。真っ当な会社の経営者です。

気風が良く、親分肌なので自然と揉め事の仲裁などを頼まれるようになり、いつの間にか地元の経営者などから信頼されるようになりました。

幼なじみが出馬したときは「ずずずくんの幼なじみなら」と言ってくれましたし、幼なじみのことも気に入ったので力を貸してくれました。

しかし、今回の選挙に私は何の関係もありませんし、候補者にも会ったことがありません。気軽に紹介するわけにはいきません。

また、良い人ではありますが、タダでお願いを聞いてくれるわけではありません。自身にとって得にならなければ動きませんし、相応の見返りを求めます。

新聞記者時代にふとしたことでその方に1つ、貸しを作りました。幼なじみが出馬したときはそれを返してくれたのだと思っています。

正直言って、私はその方に借りを作りたくありません。世間話をする程度であれば良いのですが、あまり深く関わらないほうがよいと私の直感が言っています。

そのため、幼なじみの頼みは断りました。選挙戦なんぞに巻き込まれたくないというのが本心です。しかし、落選すればただの人、あちらも必死です。

「候補者に会ったことないから、紹介するに値する人か分からん。候補者がいまからうちに来て、政策など説明してくれたら考える」

諦めるだろうと思って無茶振りしました。車で2時間弱はかかるはずです。しかし、来ました。後援者との会合を早めに切り上げてきたそうです。

分刻みで動いている人なので、私の家にいたのは約10分間です。さっと政策を説明してから、何の躊躇もなく土下座してきました。

私より年上の候補者にそこまでされてさすがに追い返すわけにもいきません。その方に借りを作ることの意味や、絶対に見返りを与えなければならないことを説明し、念のために一筆もらってから冒頭の電話をしました。

その方からは「応援するかどうかは会ってから決めるが、とりあえず会ってやる。いまから来い」という返事をもらい、それを伝えたところ、候補者や幼なじみはすぐに飛び出していきました。

「権力を握りたい。権力を握れば濡れ手に粟のウハウハな生活を送れる」と思っている人は少なくないと思います。しかし、それを得るには相応の覚悟と代償が求められます。

幼なじみの市議会議員選挙中、お世話になった方に「ずずずくんが出馬するなら、私が責任を持って当選させてあげるが」と言われたことがあります。

しかし、私は政治家になるつもりなどまったくありません。あんなドロドロした世界になど、大金を積まれても関わりたくありません。

「仕事終わりにちょっとしたものを食べて、飲んで、今日も1日、幸せでした!」という生活を送ることができるだけで十分です。

…で、できればそこに、熱燗を差しつ差されつしながら鍋をつつき合うかわゆい彼女がいたらと思うのですが、これって贅沢かしら。

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今日の横浜は冷えています。独り身ですが、今夜は鍋をつつきます。以前、雑貨屋さんで衝動買いしたこの土鍋が大好きです。