電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

生きてる

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「お疲れさまでした!飲みに行きましょう!」― 午前4時30分ですが?

レコーディングでは各パートを録音した後、それぞれの音量や左右のバランスを整えて2トラック音源(いわゆるステレオ音源)にする“ミックスダウン”という作業があります。

これをCDなどに焼いてマスター(原盤)を制作する“マスタリング”という作業を経て、ようやくレコーディングが完了します。

ミックスダウンやマスタリングは音量や音質、音圧を調整する最終作業で、ここで曲のすべてが決まると言っても過言ではありません。

また、エンジニアの腕が発揮される場面でもあります。私もこれまで何人ものエンジニアを見てきましたが、やはり上手い下手があります。

今回はとても上手なセンス溢れるエンジニアでした。そもそも、スタジオも良いところで、用意してくれたレーベルの方針に感動しました。

昨日(正確には今朝)はミックスダウンまで終えました。マスタリングは頭の中をいったんリセットした後日に行います。

午後9時から始めて、終わったのは日付をまたいだ午前4時過ぎです。夜勤明けといった具合ですが、真っ当なサラリーマンの私にはこれから飲むのはつらいものが…飲んできましたが。

レコーディングが始まってからしばらくレーベルの社長が見学にきていたのですが、あらためてバンドへの加入を打診されました。

社長も元サラリーマンです。音楽とはまったく関係ない仕事に就いたものの、どうしても諦めきれずに退職し、プロのミュージシャンになったそうです。

しばらくプロとして活動した後、新しい才能の発掘の面白さに目覚め、いまのレーベルを立ち上げ、苦労しながらもここまでやってきたそうです。

「ミュージシャンなんてまったく儲からない、レーベルも赤字続き、サラリーマンのほうがよっぽど良いと思うけど、それでもいまのほうが“生きてる”って実感できるんですよ」

“生きてる”ですか…思い悩むことばかりのときにそんなことを言うのはやめてくれ…。

演奏することを仕事にするつもりがない気持ちにはまったく変わりありませんが、新しい才能を発掘することに興味がないと言ったら嘘になります。

問いを投げかけられたのが休日だったのは幸か不幸か、人生は悩むことばかりです。その前に少し眠ります。