電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

索引

書籍の表の顔はカバーですが、実質的な顔は索引です。

小説やビジネス書など索引がない書籍もありますが、専門書では必ず索引を制作します。そして、索引がどれだけ丁寧に制作され、充実しているかでその書籍の評価が決まります。

専門書の編集者は、他社の書籍を手にしたらまず索引をチェックし、試しに数語、引いてみます。その後、目次を確認し、本文へと進みます。もちろん私もそうです。

研究者はさらに厳しく、索引が適当に制作されていると判断すると、いくら口コミなどでの評価が高く、実際に内容が優れているとしても、その書籍を読むことはありません。

ただ、索引を制作するのは書籍の制作過程の中で最終段階になります。すべての修正が終わり、もうノンブルが動くことはないと確定しなければ索引を制作できません。

例えば「著作権」という語句が281ページの終わりのほうにあり、その直前に著者が加筆したために282ページにずれこんでしまうということがあります。

もし、著者校正が終わる前に索引の制作を見切り発車してしまうと、281ページに「著作権」という語句があると記載しているのに実際は282ページにあり、読者が混乱してしまいます。

当然ですが、書籍は本文を固めることを優先します。索引制作の時間を考慮してスケジュールを組みますが、ギリギリまで本文を修正したがる著者も少なくありません。

書籍の顔ですから、本当はもう少し時間に余裕をもって制作したいのですが、どうしても印刷所への入稿直前に制作することになります。毎回、ジレンマにさいなまれています。

ただ、索引に記載した語句が指定されたページに本当に載っているか、1つずつすべてチェックしています。PDFで語句を検索し、そのページにきちんとあるか…この繰り返しです。

書籍のボリュームによって異なりますが、300項目を超えてくるとさすがに1人ではチェックできないので、手分けして人海戦術で確認します。

そして昨日から、来週の火曜日に印刷所に入稿する書籍の索引を制作しているのですが、一部に致命的なミスが見つかりました。語句とページ数がまったく合っていないのです。

原因究明はさておき、一から作り直しです。ミスがこの箇所だけなのか、他は本当に間違いないのか。該当箇所だけを修正すると他の箇所にも影響を及ぼしかねないため、作り直したほうが確実なのです。

ずっと確認作業を続けていましたが、さすがに集中力が切れ、目がしぱしぱしてきました。あと30項目ぐらいですが、ミスしそうなので休憩です。索引は書籍制作の最後の山場です。

書籍制作は難しいですし、疲れますし、本当に大変です。もう2度とやりたくないと思うことも多々あります。しかし、見本を手にしたときの喜びが忘れられないのです。

本を作るって楽しいな。