電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

高を括っていたものの

「出張を見送るよう指示があったんだ。空港や入国審査が混乱しているらしいし、僕も余計な面倒に巻き込まれたくなかったから良かったよ」

今日から米国本社に出張する予定だったトルコ人の同僚がふだんどおり出社してきたのでどうしたのか聞いたところ、冒頭の台詞が出てきました。

難民や移民の入国を停止・制限したトランプ米大統領による大統領令の影響です。新聞やテレビ、ネットで大きく報道されているので、ご存知の方も多いと思います。

対象となっているのはシリア、イラク、イラン、イエメン、リビアソマリアスーダンの7か国の出身者で、トルコは対象となっていません。

ただ、同僚はイスラム教徒ですし、中東諸国の男性のほとんどがそうであるようにヒゲをたくわえています。入国審査に時間がかかるであろうことは目に見えています。

そもそも、混乱に陥っている中できちんと確認してくれるかどうか怪しいものです。パスポートをよく見もせずに“何となく中東諸国の人間のようだ”と判断されて入国を拒否される可能性もあります。

トランプ氏の当選が現実味を帯びてきたころ、米国本社から「当社のビジネスに影響はないので心配しないように」というメールが何度か送られてきました。

正直言って、米国本社はともかく極東のちっぽけな日本法人に影響はないと私も思っていました。しかし、同僚の出張見送りという形で影響が出ました。

弊社は米国の企業なのでこれでもまだマシかもしれません。グローバルで活動している日本企業、例えば名指しされたトヨタなど自動車メーカーは今後、相当の影響があるのではないでしょうか。

米国は大国であり、そこを治める大統領は強大な権力を持つことにあらためて気づかされました。また、トランプ氏は実際に就任したら丸くなると思っていたのですが、どうもそうではないようです。

他国のトップが変わるだけであって、何だかんだ言っても私のような庶民には影響がないと高を括っていましたが、楽観視できないと思い始めてきました。

これから世界はどうなっていくのだろう ― ふだんであればこのようなことを考えませんし、まったく現実感を伴わないのですが、何か大きな事件が発生するのではないかとても不安です。