電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

転職エージェントとヘッドハンター

「エージェントはどこを利用しました?」― 私は何気なく聞いたつもりだったのですが、相手はキョトンとした顔で「“エージェント”って何ですか?」と聞き返してきました。

印刷会社の営業さんが新入社員を連れて新年のあいさつにお見えになりました。新入社員といっても中途採用なので20代後半、新卒で入った会社を4年で辞めたそうです。

私はいまの会社にエージェントを通じて入りましたし、同僚や学生時代の友人も同じように転職しているので“転職=エージェント”は当たり前のものだと思っていました。

“転職エージェント”とは何ぞや?という人はこちらをどうぞ。

wakabkx.hatenadiary.jpその新入社員さんは『リクナビNEXT』というメジャーな転職サイトで募集を見つけ、自分で応募したそうです。むしろ、そちらのほうが当たり前なのかもしれません。

エージェントとヘッドハンターは同じように見られがちです。紹介者が企業に採用されることで利益を得る、というところは確かに同じです。しかし、両者には決定的な違いがあります。

相手に転職の意思があるかないか、です。

エージェントに依頼する人は転職の意思がある人です。「転職したいから良いところ紹介して」という状態なので、エージェントは“待ち”です。

一方、ヘッドハンターはクライアントである企業から「こういう人が欲しい」と依頼を受け、希望を満たす人材を自ら探し、ターゲットを説得して辞めさせてからクライアントに売りつけるわけです。

ヘッドハンターが声をかける人材は、心の奥底はどうであれ、とりあえず自分から転職に動いているわけではないので、転職市場にも出てきません。

そもそも、そういう人材を探し出すところから自分でやらないといけないわけです。ヘッドハンターは、さまざまな業界の知識と人脈が豊富な数名の情報提供者から常に情報を収集しています。

また、クライアントである企業からの希望に応えるというところも同じですが、ヘッドハンターへの依頼は転職エージェントに対するそれよりもピンポイントです。

例えば、転職エージェントに依頼する際は「Aができる人」となりますが、ヘッドハンターに依頼する際は「AとBとCができる人」となりますし、もっと具体的に「○社の○○さん」と指定することすらあります。その分、ヘッドハンターが受け取る手数料は相当なものになります。

ヘッドハンターが依頼を受ける人材は経営層や最低でも部長クラス、40~50代のいわゆるエグゼクティブがメインでしたが、ここ数年は私のような中間管理職世代もターゲットになりつつあるようです。

週末に会う予定のヘッドハンターの名刺を探し出し、顔を思い出していたのですが…確かに百戦錬磨の面構えだったな、と。“海千山千”という言葉がぴったりと当てはまる感じでした。

そういう人物と接点を持っている自分もどうなのか、何だか荒んでいるな、と思ったりもするのですが、たくさんの人を見ている人はとても興味深い視点や考え方を持っています。

その一端を垣間見るだけでも十分、価値がありそうなので、週末に備えてこちらもあれこれと用意しておこうかと。