電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

(別の)先輩からの誘い

「戻ってこないか?信頼できる優秀な記者が手元にほしいんだ」

帰りの電車に揺られながらぼーっと外の景色を眺めていたら、前の会社の先輩から「急で悪いんだが、今夜会えないか?」とメールが届きました。7月に飲んで以来ですから約4か月ぶりです。

時間はまだ午後8時前で、あの人たちにとってはこれからが仕事と言っても過言ではありません。「いま帰りの電車なのでそっちまで行きます」と返信して、会ってきました。そして開口一番、冒頭のセリフです。

今年の4月、先輩は出世して現場を離れ、各記者に指示を出す立場になっているのですが、社会部と政治部、経済部の権力争いに巻き込まれて無駄な労力を消費し、思うような紙面が作れていないそうです。

かつて築いた人脈はいまでも生きていますし、体力も気力も衰えていません。明日からでも記者に復帰できる自信はあります。ただ「出戻りも何だか…」と思う気持ちもあります。

いまの会社に辞めると言ったら強烈に引き止められ、一昨日は学生時代の先輩の出版社に誘われ、そして今日は古巣の新聞社に誘われ。これがいわゆるモテキか。

「それほど急いでいるわけではないが、まあ年内には返事をくれ」と言い、先輩は会社に戻っていきました。正味20分。明日の朝刊を追い込んでいる記者にとってこの時間帯の20分はとても貴重です。

海を眺めながらぼーっとタバコを吸ってみました。受動喫煙防止条例の制定を誇る神奈川県庁のお膝元ですが、午後9時過ぎで周囲に人は全然いないので失礼して1本、吸わせてもらいます。

ふみちゃん、元気かな。会いたいな。もう2度と会えないけど。

何ですぐふみちゃんが出てくるのか。ふみちゃんのことを思い出して、1人で勝手に深刻になることで自分に酔っているのか。深刻になることは物事の本質に近づくことではないのに。

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