電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

自分で思っているほどミスは伝わっていない

ミスやトラブルは自分で思っているほど聴く側、観る側は気にしていない――ライブの後に毎回、思うことです。これはバンドのライブに限らず、演劇や演説など、人前でやる何かのすべてに共通することだと思います。

突き詰めていくと1対1での面接でも同じことだと思います。例えば、いまの会社に入る際、面接を3回受けましたが、毎回「質問に上手く答えられなかった」「言いたいことを全然言えなかった」と後悔し、「落ちた~」と思っていました。

しかし、結果として採用されて、いまも働き続けているわけです。入社から半年後、面接を担当したマネージャーと飲みながらそのときのことを聞いたのですが、「まったく問題なかったし、だからこそ次に進ませた」とのことでした。

そのマネージャーとは2回目の面接で会ったのですが、顔は笑っているものの目は笑っておらず、いかにも面接慣れしている雰囲気を醸し出していて圧倒されました。質問に対する私の回答も身振り手振りを交えたしどろもどろなもので、「これはイカン…」と凹んで帰りました。

それでも相手にはきちんと伝わっていたわけです。

逆の例もあります。先月、私が面接する側となったときです。そのときに採用した派遣スタッフさんはいま、期待以上の仕事をこなしていますし、面接の受け答えを聞いて「この人なら任せられるだろう」と思っていました。

しかし、本人は「全然話せなかった」「落ちた」と思っていたそうです。「例えば、どの辺で?」と聞いたところ、むしろ私が決め手に感じた部分が、本人にとっては大失敗のポイントだったそうです。

…ということを聞いていて心の準備はできていたのです。これまで何十本ものライブをこなしてきて「ミスなんて聴いている側は分からない」と頭で分かってはいるのです。それでもライブ後は毎回、凹みます。

昨日も私にとってはかなり散々でした。録音を聴くとちょこちょことミスしていますし、ドラマーは4曲目のイントロでまったく違う曲を叩き始めて全身総毛立ちましたし。

ただ、メンバーの奥さんが録音を聴いたところ「ノリやリズム隊のドライブ感が抜群」だそうです。

もっと言うと、先日アップした「め組のひと」ですが、実はあれ、ドラマーがまったく違う曲の入りを始めています。動画を観るとドラマーは「あちゃー」という顔をしていますし、ほかのメンバーも苦笑いしています。

はっきり言ってものすごいミスなのですが、メンバー以外には伝わっておらず、結果的にはあの曲が決め手で準グランプリ&ベストベーシスト賞をいただけたのです。

自分で思っている以上に伝わっていることもあれば、逆にまったく伝わっていないこともあり得るわけです。この辺、頭で分かっていても、いつまで経っても実感できないのでしょう。

次のライブは12月に新宿です。終わった後はまた凹んでいる図が目に浮かびます。