電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

じゃぱにーずさらりーまん

学生時代の同期がいま、シャープにいます。“世界の亀山モデル”で一世を風靡し、吉永小百合をCMに起用し、台湾の鴻海精密工業に買収された、あのシャープです。

同期はスマホの販売を取り仕切る営業部隊にいます。新卒で入社したのは中小企業で、そこで実績を残し、“世界の亀山モデル”でイケイケだったシャープに転職しました。

特筆すべき研究実績をあげた技術職でないにもかかわらず、文系職で当時のシャープに採用されるのは至難の業でした。学生時代から頭のキレるヤツで、新卒で入社した企業のことを聞いたとき「お前ならもっと良いところに…」と思っていたので、ようやく真の実力を発揮できるポジションに就いたか、と仲間内で喜びました。

シャープに転職してからの彼は実際、かなりの実績を上げていました。実は私が経済部の新聞記者だったころ、彼にインタビューしたことがあります。「絶好調のシャープをけん引するキーマンの1人」というテーマです。学生時代の友人と、良いことで仕事で関わるというのはとても嬉しいことです。

同席したシャープの広報や私が連れてきたカメラマンは、彼と私の関係を知らなかったので、彼と私が顔を合わせた瞬間に「ご無沙汰!」と言って握手した姿をきょとんと見ていました。彼と私の関係を説明してからは、とても暖かい気持ちのインタビューになりました。

多くの人がご存知のように、シャープはいまや青息吐息です。リストラに直面している私の状況を理解してくれるのはヤツしかいないと思い、ついメールしてしまいました。しかし、大失敗でした。

「ん~、まあ何とかなるんじゃね?」

そうだった…ヤツは昔からそういうヤツだった…。

ヤツが転職市場に飛び込めば引く手あまただと思います。書類を見ただけでは年齢や実績など気になると思いますが、実際に会ってみるとどの企業も欲しがる人材のはずです。

それでいて、妙に堅苦しく、自分がいまいる場所に操を立てるというか、自分はさておき会社のことを考えてしまう人間です。まさに、じゃぱにーずさらりーまん。

「リストラが横行して社内はやさぐれてない?」と聞こうと思ったのですが、とりあえずいまの仕事を精一杯こなしている彼にそんなことを聞く雰囲気ではなく「お互い、何とかがんばってみるか」となりました。

とりあえず今日を過ごして、明日をこなして、明後日を乗り切って…結局、1日1日を必死に乗り越えていくしかありません。