電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

人事との面談

「いま、ご説明した通りですので、ここにサインしてください」―人事のスペースに入り、席に着いた途端、A4用紙2枚の退職合意書を出され、3分ほどで記載内容を読み上げられた後、サインを求められました。

結論を先に言っておくと、私には同条件での社内の別ポジションへの異動が用意されています。私の部署のディレクターは人事を無視し、日本支社長に話を通して了解を取り付けてあります。

私は悲しくなりました。退職合意書を提示されたことに対してではありません。整理解雇の4要件すら知らない人事のアホさ加減に対してです(“整理解雇の4要件”についてはGoogle先生に聞いてみてください)。付け焼き刃とはいえ、理論武装して臨んだ自分が馬鹿らしくなりました。

しかも、退職合意書に記載された内容はすべて会社に有利に設定されたもので、退職金も特別加算金も年収の半分にも満たないものです。すでに面談を終えた同僚から様子を聞いていたとはいえ、笑いをこらえるのに必死でした。

外資系とはいえ、ビジネスを行っているのは日本であり、私を含む編集部のメンバーは全員、日本の労働法に守られているので、あくまでも日本の法律に従うことが義務付けられています。

その後も、

私 :いまサインなどできません。
人事:では、いつまでにサインしてもらえますか。
私 :一般常識的に考えて、なるべく早くと考えています。
人事:それは数日中ですか。
私 :それを決めるのは私であって、あなた方ではありません。
人事:…。

といった具合です。毎日、膨大な文章を読み、論理の世界で生きている編集者に議論で勝てると思っている人事が途中で哀れにすら思えました。ポケットに入れたICレコーダーで会話が録音されているとも知らずに、NGワードまで連発して。

人事の立場も分かるのです。米国本社と、日本法人を管轄するアジア・パシフィックのトップから「来週いっぱいで来年のヘッドカウントを出せ」と言われているはずで、私のようなスタッフとの間で板挟みになっているのでしょう。

私をもってひとまず、編集部員全員の面談が終わりました。私が自分で人事との面談を直接、経験し、ツッコミどころが満載であることを確認して、他のメンバーもまだ色々と選択肢があることを理解しました。

他のメンバーが退職するにしても、少しでも有利な条件で退職できるよう、軽く噛みついてみようかと思っています。

こういう生々しくて面白い話をふみちゃんに聞いてもらいたいのですが(涙)