電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

新聞記者とアルコール依存症

眠れません ― なぜなら酒を飲んでいないからです。

実は土曜日から酒を飲んでいません。誕生日の焼肉もウーロン茶とジャスミン茶で済ませました。焼肉を食べながら酒を飲まなかったのは初めてかもしれません。

健康診断に備えて3日間だけ酒をやめてみようという姑息な考えからですが、3日間も飲まずにいられると思っていなかったので、せっかくならいつまで飲まずにいられるか試してみようと思い、5日間が過ぎました。

私が毎日、酒を飲むようになったのは、社会人になって仕事を始めて眠れなくなったからです。普通、仕事を始めたばかりのころは疲れのせいで常に眠くて仕方ないものです。

しかし、激務の新聞記者になってしまったことが運の尽きで「ネタが見つからなかったらどうしよう…」と24時間365日、常にプレッシャーにさいなまれる日々が始まりました。

それでも最初に配属された支局ではまだマシで、本社の経済部に異動してからはネタの質の高さを問われるようになり、プレッシャーに拍車がかかりました。

日付が変わるころ、時には日付が変わってから朝刊を校了し、朝イチですぐ取材のアポが入っているようなとき、無理にでも眠って身体を休めなければなりません。そのようなときに手っ取り早いのが酒です。

「眠れないから酒を飲む」というのはやってはいけない最たるものであり、アルコール依存症の第一歩です。アルコール依存症のきっかけの多くは眠れないことによる寝酒です。

以前にも書いたように新聞記者にはアルコール依存症が多くいます。そして、そのきっかけのほとんどは寝酒です。ただ、飲んではいけないと分かっていても飲まずにはいられないのです。

殺人事件の取材をハシゴして時には生々しい現場を目にする社会部、日本そのものを大きく揺るがしかねないネタを扱う政治部、プレッシャーは想像を絶します。

私は経済部だったのでまだマシでしたが、それでも懇意にしていた企業の経営者が経営難で夜逃げしたり、首を吊ったりした話を聞くと、神経が高ぶってしまい、眠れなくなります。

「酒を飲んで無理やり眠っても身体に大きな負担がかかっているため疲れが取れず、結果的に良質な睡眠にはならない」― よく見聞きしますし、頭ではよく分かっています。

しかし、それでも飲まずにいられないのがアルコール依存症です。「睡眠の質など知ったことではない、とにかく意識を断絶させ、何も考えたくない」という状況に追い込まれます。それは退職しても続きます。

「所詮、酒に溺れた弱い人間か」という指摘はそのとおりだと思いますし、自分でもよく分かっていますが、それでもそのような状況に追い込まれていくのが人間です。

1か月間の有休消化中という長期休暇のせいもありますが、ひとまず5日間、酒を飲まずにいられる私はまだかろうじてこちらの世界にいるのかもしれません。