電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

あと3日

「ずずずさんと一緒に仕事できて楽しかったですよ。転職先でもまたご一緒できると嬉しいです」― こう言ってもらえると私がここにいた意味をほんの少しだけ実感することができます。

午後から外出し、これまで何度も仕事をお願いしてきたフリーの編集者と会ってきました。仕事は正確で速く、料金は適正、何より決して嘘をつかない誠実な男です。

彼はあちこちから引っ張りだこの編集者ですが、なぜか私の依頼には最優先で取り組んでくれました。あるとき酒を飲みながらその話をしたところ「ずずずさんは僕を下に見ないから」とぼそっとこぼしました。

編集者に限らずフリーランスで働く人々の立場は弱いものです。そして出版社の編集者の中には会社の金で発注しているのにそれを自分の力だと勘違いし、偉そうに振る舞う人種が少なくありません。

しかし、この業界はいまやフリーランスの力なしでは回りません。版元の編集者は「仕事を出してやっている」ではなく「仕事を受けてもらっている」と考えなければなりません。

このような考えにいたらず、旧態依然とした版元編集者の意識を捨てられない人種が彼のクライアントにはまだ多いそうです。そんな中にあって私は数少ない良い発注元だったとのことです。

昨年から今年にかけてどん底、人生の好調期と低迷期の折れ線グラフを書けば間違いなく最低レベルの時期でしたが、彼のひと言だけで救われた気がします。

帰りの電車で何ともなしにスマホを眺めていたら、女性芸能人にストーカー行為をした男が逮捕されたというニュースを目にしました。禁止命令を受けていたのに再び自宅を訪れたそうです。

「この男と自分は同じなのではないだろうか」とふと思ってしまいました。もちろん、私はふみちゃんにつきまとったことなどありませんが、こうしてブログを書いていること自体、似たようなことなのではないかと思ってしまいます。

「死んだ魚みたいな目してんな。おごるから1杯飲んでいけよ」― 近所にある行きつけのバーの店先から声をかけられました。私は死んだ魚のような目をしていたようです。

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「きょうはクソ暑いからこれでも飲んどきゃ元気になる」とダイキリを出してくれました。口に含んだ瞬間、表面の氷が口の中で溶け、一瞬で体温が下がる気がしました。

店内で流れていた曲が気になったので教えてもらい、家に帰ってiTunesでポチりました。その後にYouTubeでフルで公開されていたことに気付きましたが、アーティストへの対価はきちんと支払うべきです。


中田裕二 / シルエット・ロマンス(from Album 『SONG COMPOSITE』)

あと3日です。