電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

アルコール依存症(その3)

巷を騒がせているタレントに同情するつもりはこれっぽっちもありません。社会的地位と自身が社会に与える影響力を考えれば無期限謹慎すら甘い措置だと思います。一般企業であれば懲戒免職であるはずです。

ただ、気持ちが分かってしまう自分がいることも確かです。半端ないプレッシャーに日々追われ、それを理解してくれる家族もなくたった1人で苦しんでいたはずです。

私がアルコール依存症になったのも新聞記者時代で、最初はすぐ眠るためでした。それが気付いたらボーッとして何も考えなくて済むようにアルコールを摂取するようになっていました。

すぐそばで止めてくれる人がいたら、タレントもここまでにはならなかったはずです。しかし、だからと言ってあのようなことをしても許されるわけではなく「酒に負けてやんの、だせっ」と思います。

アルコール依存症を治す治療方法はありません。治療方法と言えるものではありませんが、問題を起こさないようにするのは、2度とアルコールを摂取しないことです。

スポイトでほんの一滴、舌の上に垂らしてもいけません。奈良漬けやウイスキーボンボンなどを食べてもいけません。アルコールを一生、体内に入れないことを求められます。

数年前に一度、アルコール依存症治療専門のクリニックに行ったことがあります。そこで「もう一生、酒を飲んではいけません」と言われ、通院をやめました。

「酒を飲まずにどうやって眠ればいいんだろう」という恐怖心にまず襲われました。適切に処方された睡眠薬などを飲めば解決できますが、アルコール依存症の人間にそんなことを考える余裕はありません。

鬱々とした気分を忘れさせてくれる薬もありますし、適切に処方されたものを適切に飲めば問題ありません。アルコールを摂取するよりよっぽどマシです。

ただ、アルコール依存症の人間にとって酒を失う恐怖心は計り知れないものです。私もいま、少し考えただけで恐怖でいっぱいです。この恐怖から一瞬だけでも逃れるためにアルコールを摂取するわけです。

(その4に続く)