Woman
いまの会社に転職した数年前から音楽活動を再開しました。大学を卒業してからずっと音楽をやりたいと思っていたのですが、新聞記者時代には無理でした。
NHKの女性記者の過労死に関するニュースを目にした方は多いと思います。亡くなる直前の勤務状況が報じられていますが、月150時間を超える時間外労働に驚いた方も少なくないはずです。
先に書いておきますが、彼女の働き方は異常です。そのような働き方を求めたNHKは糾弾されるべきですし、他のマスコミは人の振り見て我が振り直すべきです。
ただ、新聞記者として全盛時の私はまったく同じ働き方をしていました。「マスコミとしては“普通”の勤務状況か」と思ってしまったのが正直な気持ちです。
夜討ち朝駆けは当たり前、土日祝日に駆け回ることも当たり前、親族の冠婚葬祭に出席できないことも当たり前、1~2日眠らないことも当たり前でした。
自宅は眠るどころかシャワーを浴びて着替えるだけの場所であって「それならサウナでいいじゃん」と思い、Yシャツや下着、靴下、ネクタイ、スーツを1週間分、職場に置き、自宅に帰るのは1週間に1回という時期もありました。
私はまだこのように生きていますが、いつ彼女と同じように亡くなっていてもおかしくなかったと思います。たまたま運が良かっただけです。
転職して世間一般的に“普通”の働き方を知りました。カレンダー上で土日祝日は出社しなくてよいことに慣れるまで数か月かかりました。
それから趣味の音楽活動を再開しました。ブランクを取り戻すために初めは自由参加のセッションに参加し、それからライブバーのハウスバンドのベーシストになりました。
何人かいるヴォーカリストのうちの1人が、ショーの最後にアン・ルイスの「Woman」を必ず歌いました。とても上手で、バックバンドとしても楽しんでいました。
www.youtube.comサラリーマンであれば会社が求めることに従うべきです。ただ、会社が求めることと自分自身がやりたいことに許容範囲を超える大きな差が生まれたときにどうするべきか。
ある企業から役員兼部長としてのオファーを受けました。当たり前ですが、大企業ではありません。ただ、社員数人のベンチャーではなく、ベンチャーの時期を超え、上場に向けて駆け上がっている段階の企業です。
オファー内容は私がやりたいと思っていることで「億に近い数千万円の予算と十数人の人手をあげるから、結果さえ出せばやりたいようにやってよい」というものです。
字面だけ見ればとても魅力的です。しかし、相応の結果を求められることは想像に難くありません。日系ですが、ある日突然「クビ」と言われても文句を言えない環境でしょう。
悩んでいます。