電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

怒る

「君には営業を兼務してもらいたい」

……

………

…………は?

いきなり登場したと思ったらまともに挨拶もせず何を言ってるんだ、このオッサンは?寝言は寝てから言うものだっていうことも分からんのか?

昨年末に退職した営業の転職先の編集長との待ち合わせ場所に行ったところ、もう1人、彼より年配の男性がいて、いきなり営業と兼務の話を切り出されました。

ニュースサイトの副編集長という条件だったはずで、これまで営業の「え」の字も出てきませんでした。そもそも、あなたはどなたでしょうか。

結論から言うと常務取締役でした。

それにしても寝耳に水で、ほんの一瞬、思考停止に陥りましたが、すぐに立ち直って「営業に同行してサポートするということでしょうか?」と聞いたところ衝撃のひと言をいただきました。

「いや、数字を持ってもらうから」

それはつまり世に言う“ノルマ”であって、完全な営業です。なぜこれまでのキャリアとスキルを捨てて他社に営業として転職しなければならないのでしょうか。

できるだけ冷静を装い、2人を交互に見ながら「うかがっているお話と少し違うようですが…」と聞いたところ「それなら今回は縁がなかったということで」と言い捨て、帰ってしまいました。

その場には編集長と私が取り残されました。呆然としてしばらく無言でしたが、我に返るとふつふつと怒りがこみ上げてきます。

編集長が言うには、自分のあずかり知らないところで常務が甥を記者としてコネ採用してしまい、私を採用する予算がなくなってしまったそうです。

そして、それを私にきちんと伝えて謝ろうと思い、慌てて今日の時間を作ったところ、常務がついてきてしまったとのことでした。

常務としては「せっかく営業のポストを用意してやったのに向こう(=私)が断った」という図式を作ったつもりのようです。

かろうじて感情を抑え「編集長も大変ですね」と大人として最低限の配慮をしましたが、近年まれに見る不快な時間で、危うく感情を露わにするところでした。

その代わりと言ってはなんですが、ここで少しだけ吐き出させていただけないでしょうか。不快に思われたら申し訳ありません。

舐められたもんだな、おい!

わたくし、怒っています。