電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

自分のこと

「君のことは絶対に守るから、私を信じてほしい」

字面だけ見るとアレですが、艶っぽい話ではありません。ニューデリーオフィスへの異動について支社長に言われたことです。

今日の帰り際、支社長に呼び止められ、米国本社の人事からメールがきたか聞かれました。どうやら支社長もあずかり知らないところで話が進んでいるようです。

この時点でかなりまずいと思っています。グローバルで展開する大企業の中のちっぽけな島国の支社ですが、それでもトップが把握できていないということはただならぬことです。

実際に支社長の表情もいつになく真剣でした。それが逆に不安をかきたてます。いつものように笑い飛ばしてくれたほうがよっぽどよかったのです。

元書籍編集部のメンバーの顔が浮かびました。また、目の前で苦慮している支社長の表情が自分のことのように辛く感じます。

「言葉は悪いですが、人身御供として東京オフィスから誰かを出さなければならないのであれば私にしてください。元書籍編集部の他のメンバーは全員、家族持ちか恋人がいます。守るべきものがないのは私だけです」

インドに行きたいか?と聞かれたら行きたくありません。生まれ育った母国にいたいです。しかも、行ったらいつ戻れるか分かりませんから。

ただ、見た目がブサイクな分、中身だけは格好良くありたいと思っている私の悪い癖です。自分自身のことを疎かにしてしまうのです。

「他人のことを考えてすべて背負うのは立派なことだが、君はもう少し自分のことを考えたほうがいい」― 支社長に言われました。

頭では分かるけど…ね。

米国本社の人事からのメールに対しては「No」と回答しました。はっきりと意思表示をしましたが、どこまで考慮されるか。

インドへの異動の内示が出たら退職するつもりでしたが、私が断ったら東京オフィスから私の代わりに誰かが出されるようです。辞めるわけにはいきません。

いずれにしても、私個人がどうこうできる問題ではありません。グローバルの大きな流れに身を委ねるだけです。

私の姿を2度と目にすることがなくなるであろうふみちゃんはホッとするでしょう。それを考えるとインドへ行くべきかと思います。

自分のことを考えろ、と言われても、どうしても他者のことを考えてしまうのです。仕方ありません、こういう性格です。