電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

泣き虫

私は人前で感情を露わにすることはありません。

「こんな姿を見せたら気持ち悪いと思われるに違いない。せっかく仲良くしてくれているのに嫌われたらどうしよう」― 私の頭の中に常にあることです。

ブサイクとは自身の感情を押し殺す生き物です。ただでさえ外見で他者に不快感を与えるため、さらにみっともない姿を見せることを極端に恐れます。

感情を露わにするということは自らを律することができていないということであり、自らを律することができない人間ほどみっともないものはありません。

オフィスで仲良しのイギリス人の同僚と初めてプライベートで会ったとき「ずずずもそんな風に笑うんだ…」と言われたことをよく覚えています。

ミーティングが白熱しても顔色ひとつ変えずに淡々と意見を述べる私の姿を見て、本気でマシンのようだと思っていたそうです。

いまや彼は私の弱い部分も知る数少ない友人の1人です。ただ、そんな彼にも泣いている姿を見せることはできませんし、さすがに私が泣いている姿は想像できないと思います。

先ほどまで、また泣いていました。

書籍編集部の蔵書を整理しながら、廃棄するのは忍びない書籍を個人的に保存しようと思い、自宅に送っていました。

大きめの段ボール5箱分になり、自宅の仕事部屋がさらにカオスになってしまいましたが、断裁されるものを少しでも減らしたかったのです。

それが今夜届き、とりあえず1箱を開けて1冊を手に取った瞬間、涙が出始めました。こうなってしまうともう止まりません。

昨日は激情に駆られて滝のような涙でしたが、今日は霧雨のような静かな涙です。泣き声も出ず、はらはらと流れ出てきます。

自宅ですので、誰の目を気にすることもありません。目を拭いながらページをめくり、胸に抱き、紙の匂いを深く吸い込みました。

気を付けていたのに、涙が落ちてしまったページがあります。乾いたら皺になってしまいますが、いつか見直したときに今日のことを思い出すはずです。

昨日と今日で、残りの人生分の涙をすべて流しきった気がしています。私はもう泣きません。