電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

仕事ができる男

「ずずずさん、すごいですよ!“いつから来られそうなんだ?”って言ってましたよ!」

当たり前だよ、オレがこれまでどれだけ試行錯誤しながらスキルを磨き、キャリアを積んできたと思ってるんだ。どこでだってやっていけるわ。

謙虚を美徳とする日本人の中にあってこのようなことを言うとひんしゅくを買うと思いますが、自分のこれまでの仕事に自信を持って何が悪いのでしょうか。

むしろ、自信を持てないような仕事をしてきたことのほうが恥ずべきことなのではないでしょうか。これは外資系であろうが日系であろうが変わりありません。

そもそも、ブサイクであることに加えて仕事もできないなど目も当てられません。ブサイクは仕事をがんばるしか生きる価値がないのです。

ただ、そうはいっても全国紙の第一線で活躍してきた人物は違うな、と思います。地頭が良いのはもちろんですが、肝の据わり方が私と違いました。

私は元日刊紙記者といっても地方紙です。部数は数十万部で、自身が書いた記事は毎日、せいぜい100万人に読まれるかどうかというレベルです。

しかし、全国紙ともなるとゼロが1つ増えます。それだけの人の目に毎日、触れるプレッシャーは尋常ではありません。

私など内容証明が1通、届いただけであたふたしていましたが、全国紙ともなると何ら珍しくありません。「内容証明ぐらいでびびるな」が合い言葉です。

そのような世界で人生の大半を過ごしてきた人と酒を飲みながら話すことはとても有意義な時間です。しかも、銀座の寿司屋で柄にもなく緊張してしまいました。

いますぐ転職するつもりなどありませんが、「一緒に仕事しながらこの人の経験を盗めば、次にもっと自分を高く売れるのではないか」と思ったことは事実です。

海千山千の人ですから、私の考えなどお見通しだったと思いますが、決して口に出すことはありませんでしたし、むしろ「盗めるものなら盗んでみろ」というぐらいだと思います。

とりあえず来月、「お盆休みでオフィス街が閑散としているときにもう一度、静かに飲もう」と言われました。少しワクワクしている自分がいます。

これでいまのオフィスのすぐ近くで、ふみちゃんに会えるのであれば即転職でも構いませんが、大きなハードルがあるのです。

ふみちゃんはブサイクでも仕事ができる男に興味はないだろうか。