電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

1年前のきょう

昨年の7月7日は木曜日で、翌8日は金曜日でした。

なぜこのようなことを覚えているかというと、7月8日が誕生日で、出社した朝イチにダイレクターから「君はクビ」と言われたからです。

外資系での働き方についてはこれまで何度も書いてきたので詳しく書きませんが、日系のように雇用の確保に重きを置かず、職務を重視します。

私は書籍の編集という職務に対して応募し、採用されました。書籍出版事業を廃止するということは私の職務がなくなることであり、要は仕事がなくなることになります。

日系であれば配置転換で雇用を確保しますが、外資系にはそのような考えがありません。他部署で成果を出せる能力があったとしても、それは私の仕事ではないのです。

「編集部員は貴重な知識があるから」ということで、最終的に私はウェブの編集に異動し、そのほかの書籍編集部員は営業サポートなどに異動しました。

しかし、これは例外中の例外です。例えば、抜群の営業成績を誇っていた書店営業は他の製品を売っても必ず成果を出せるはずでしたが、クビになりました。

それでいて他の製品を売る営業を募集していました。「それなら書店営業の彼を異動させれば?」と誰もが思いましたが、それはありませんでした。

合理的なようでとても非合理的なのが外資系です。

書籍出版事業の廃止をはじめとする方針転換について7月8日に発表されることは以前から決まっていて、クビ対象者には事前に説明があることになっていました。

私も7月6日にダイレクターから面談を設定されていましたが、急きょ大阪出張が入ったため、全社への発表当日の8日に伝えられました。

このように解雇を伴う大きな方針転換は大抵、金曜日に発表されます。いくらクビが珍しくない外資系といっても宣告された側は激しく動揺するため、週末で気持ちを落ち着けさせる目的があるわけです。

ただ、週末で気持ちが落ち着くわけがありません。私など1年経ったいまでも胸の内にわだかまりが残っていますし、ほかの書籍編集部員も同じです。

私がダイレクターに逆らって広告営業チームを手伝ったことには、このときの仕打ちに対する反発が少なからずあります。「クビにするつもりだったんだから関係ないだろう?」という気持ちです。

その後は、別の出版社にいる学生時代の先輩や以前の新聞社から誘いを受けたり、果てはヘッドハンターまで登場しましたが、結果的にまだ残っています。

よりにもよって年に1回しかない誕生日にクビ宣告というビッグなプレゼントなど、サプライズにもほどがあると思いましたが、身体を張ってネタを提供する天性の芸人体質なので仕方ありません。

来年のきょうはどうなっているのか、まだこの会社に残っているのか、1年後のことなどまったく分かりません。ただ、独身だろうとは思います。

まだふみちゃんのことをうじうじと書いていたらブレない男ということで、それはそれで立派だと拍手してくださいませ。