電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

臥薪嘗胆

「あっ、ふみちゃん」

昨日、今日と2日続けて我らが京急が遅れました。昨日はアルミ風船の架線への接触、今日は雨による混雑にドア点検が重なりました。

以前の電車であれば、ふみちゃんも私も遅れるときは一緒です。しかし、いまのように電車の時間が違うと、ふみちゃんがどれくらい遅れ、私のオフィス前を何時に通るか分かりません。

案の定、午前9時15分ごろにふみちゃんはおらず、ふみちゃんの同僚が2人だけでした。今日も会えないのかと凹みつつ、午前9時30分ごろにまた外を眺めてみました。

そこにふみちゃんがいました。ピンクの折りたたみ傘をさしていたので顔は見えませんが、間違いなくふみちゃんです。ふみちゃんを見つめ続けて2年弱、見間違えることはありません。

私のオフィス前を通るとき「雨降ってるのかな?」といった感じで傘を横にずらしたほんの一瞬、ふみちゃんの顔が見えました。また傘をさし直し、早足で歩いていくふみちゃんの後ろ姿をずっと見つめていました。

私がこんなところから見つめ続けていることなどふみちゃんは知りませんし、気づくこともありません。いつかふみちゃんが私の前から消えてしまうその日まで、私には見つめ続けることしかできません。

出社したダイレクターに「おはようございます」と挨拶したら、目も合わさずに頷いただけでした。昨日までは声をかければ返事をする、自分から声をかけてくるという、普通の関係だったのですが。

仕事以外に何の取り柄もない私から仕事を取り上げたら単なるブサイクが残るだけです。そんなものに存在意義はありません。ダイレクターは比較的、すぐに入れ替わりますが、それでも明日いなくなるようなことはなく、少なくとも年内はいるでしょう。

つまり年内は干され続けることになります。仕方ありません、意地とメンツにこだわり、格好つけた報いです。ただ、ここで辞めるつもりはありません。転職は簡単なので、もう少し信念を貫いてみるつもりです。

臥薪嘗胆の時期です。