電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

再認識

「あんなに楽しそうにどんな話をしているのかな…」

私が3階のオフィスから見つめていることなど知らず、ふみちゃんは同僚と2人で楽しそうに話しながら信号を待っていました。

今日は茶色の洋服を着ていたのですが、胸元が少しひらひらするのを気にしているようでした。確かにあれで前屈みになったら見えてしまうだろうに。

もちろん、私にはふみちゃんの近くに行くことはできません。毎朝の数分間、ふみちゃんの目がなくなる笑顔を遠くから眺められればそれでよいのです。

「おはようございます。こちらは肌寒い朝ですが、そちらはいかがですか。天気予報を見ていたら都内は暑くなるようですので熱中症とかに気をつけてくださいね」

今朝起きたら、お見合い(のようなもの)をした女性からLINEでメッセージが届いていました。既読スルーは失礼ですし、両親はまだ断ってないはずなので簡単に返信しました。

物静かだったのに自分からメッセージを送ってくるとは少し意外でした。仲良くなって期待させてはいけません。両親を急かします。

100人に聞いたら100人全員がこの女性と付き合うことを勧めると思います。逆の立場だったら私もそうするはずですし。

しかし今朝、ふみちゃんを見て、想いを再認識しました。危うく巨乳になびくところでしたが(ぉぃ)、私はやはりふみちゃんが大好きです。

想いが届くことはなく、私のことなどすでに忘れてしまっているでしょう。そもそも眼中にすらなかったかもしれません。

私からコンタクトを取ることはできませんし、そんなことをしてはいけませんし、いつかふみちゃんがいなくなる日まで遠くから眺めるだけです。

新緑を見て癒された目がパソコンのモニターを数分間見ただけで元に戻り、後頭部から首、肩にかけて鈍い痛みがぶり返しました。

つらいけど仕事しよ。