仕事にも精が出る金曜の午後
仕事にも精が出る金曜の午後 ― 就職したら金曜日の夜を満喫できると思っていたのですが、現実はまったく違いました。
新聞記者時代は曜日の感覚などありませんでした。明日は休めそうだと分かるのは朝刊を校了した後で、いつも日付が変わっていました。
帰ってシャワーを浴び、眠るために酒を飲み、泥のように眠って起きたら、休みという名の単に会社に行かない日が終わるのが常でした。
出版社に転職し、外資系ということもあり、会社に行くのはカレンダー通りという、ごく普通のサラリーマンのようになりました。
しかし、編集というパソコンさえあればいつでもどこでもできてしまう仕事のため、会社に行く時間を節約するために自宅で仕事をすることが増えました。金曜日の夜に自宅で仕事をするのも珍しくありません。
新聞記者、編集者という、サラリーマンとしては少し特殊な部類に入る仕事を選んでしまったせいですが、金曜日の夜に彼女とデートなど夢のまた夢です。
私は、ふみちゃんを美化していると思います。話したことがなく性格を知らないのに、ここまで好きになってしまうなど、いい歳して恋に恋している状態に陥っています。
電恋というのは、このような状態に陥りがちです。だから、いくら親しい友人でも理解してもらえないと思い、相談することができません。
ふみちゃんに会わないよう、電車の時間を変えてからずいぶん経ちました。ふみちゃんは私のことなどもう覚えていないでしょう。そもそも始めから眼中になかったのでしょうし。
それでも私はいまでもふみちゃんのことで頭がいっぱいですし、金曜日の夜にふみちゃんと飲みながら1週間をリセットできたらどれだけ幸せだろうと想像します。
仕方ありません、好きになってしまったのですから。
今夜は仕事にも精が出る金曜の午後を友人のバンドバージョンで。