電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

解雇

外資系はシビアです。もちろん日系もシビアですが、質が違います。

例えば解雇に対する考え方です。

日系は雇用の確保を至上命題としているため“解雇”という言葉は禁句と言っても過言ではなく、口にすることすらはばかられます。

一方、外資系は雇用を保障しない代わりに高額報酬を支払う“ハイリスクハイリターン”の考えの下に成り立っています。

日本では1社にすべてを捧げるのが当たり前、海外では複数社を経験してスキルアップしていくのが当たり前。働き方に根本的な違いがあります。

日本でも転職が当たり前のものになりつつありますが、それでも3社も経験していると怪訝な目で見られます。一方、海外では4社目、5社目も珍しくありません。

転職しやすいということは、逆を言えば解雇しやすいということでもあります。

日系は定年以外での退職者が少ないので必然的に採用も少なくなります。次を見つけにくいため、企業は従業員の雇用の確保を最優先します。

外資系はスキルアップのために数年で退職ということが珍しくなく、空きポジションが出やすくなっています。人がぐるぐる回る、いわゆる雇用の流動化というものです。

イタリアでは解雇の金銭解決制度が定められています。背景には若年層の高い失業率があり、解雇しやすくすることで若者の採用を増やすという意図があったとされています。

少し話が変わりますが、外資系は労働時間の管理もシビアです。原則として定時以外は働かない、土日祝日に働くなど考えもしません。

編集という定時で縛ることが難しい職種は仕方ありませんが、それ以外のHRやファイナンス、システム系など事務系はみんな18時になった瞬間に帰ります。

遅くまで残業していれば「がんばっている」と評価されてきた日系と違い、定時内で業務を終えられないスタッフは無能扱いされます。

それでも定時内に終えられなければ、スタッフの能力を超える業務を割り振ったということでマネージャーが無能扱いされます。これについては以前も書きました。

マネージャーとの定期的な面談で、私にはすでに定時内でぴったり終えられる業務を割り振られています。これ以上は残業せざるをえなくなります。

昨日から背負い込んだ広告営業チームの業務はそれだけでも定時内で終えることが難しい分量です。通常業務にプラスされるので当然、残業が発生します。

広告営業チームの業務を手伝うことにマネージャーが激怒するのはここに理由があります。もちろん就社と就職の違いもありますが、残業してまですることではないからです。

長時間労働に対する意識の高まりから、日系でも何とか残業を減らそうとしていますが、私のように自主的に多くの業務を抱え込む従業員が問題となりつつあります。

私は強制されているわけではないので、長時間労働で会社を訴えるつもりはありません。暗黙の圧力などもありませんし。

ただ、マネージャーにとっては、もし私が過重労働で倒れたりしようものなら管理能力不足で自身がクビになるので激怒するわけです。

そして、前記のように解雇に対する抵抗感が少ないので、昨日書いたように「バレたらクビ」ということもあながち冗談ではありません。

ここは日本であり、私は日本の労働法に守られています。いくら米国に本社がある会社だからといってもそう簡単に解雇できません。

しかし、解雇に心理的な抵抗がない、ためらいがないということは大きいです。解雇するとなったら迅速かつ徹底的にやります。

誰が見てもそこまでしてやるようなことではありません。ただ、頭では理解しているのですが、困っているのを見過ごすことがどうしてもできません。

仕方ありません、こういう性格ですから。バレないよう細心の注意を払って進めます。