電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

入学式

「あっ、オレ明日、休みね」

何度か書いているように、外資系では残業がまったく評価されません。むしろ“定時内で終えられない無能”とされ、評価が下がります。

客観的に見て定時内で終えられない量の業務を抱えているようであれば、スタッフの能力と許容量を適切に把握できていないということでマネージャーの評価が下がります。

ただ、全社がそうであるとはもちろん言えず、例えば営業は厳しいノルマに追われているため18時に外回りから戻ってきてそれから事務仕事に取りかかるスタッフが多くいます。

また、編集部も校了が近づいたりウェブに新規リリースが迫っていたりするときは遅くまで仕事をしています。このようなときは仕方ないため認められています。

しかし、私の部署のダイレクターは外人なので、毎日、定時の18時になった瞬間に帰りますし、ファイナンスやカスタマーサポートなどバックオフィスも18時30分にはもぬけの殻です。

有休もしっかり取得していて、外人に限って言えば有休消化率は70%以上ではないかと思います…こうして書いてみるとホワイト企業ですが、これはあくまでも一面のみです。

そんな中、私の同僚に前時代的なモーレツサラリーマンが1人います。とにかく仕事が大好きで「オレは24時間365日働ける」と豪語し、それが彼であれば本当に働けそうだと思えるほどです。

深夜であっても土日祝日であっても彼にメールすると即レスで、いつ休んでいるのだろうか、まさか本当にずっと働いているのではないかと不安になります。

そんな彼が昨日の帰り際、休むと言ったのです。周りのスタッフは一瞬、何が起こったか理解できず、私を含め文字どおり鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていました。

冗談抜きで親兄弟の葬式より仕事を優先しそうな男なので、今後の人生を左右するような想像もできないほどの一大事なのだろうと思い、何があるのか恐る恐る聞いてみました。

「娘の小学校の入学式」

吉本新喜劇でもこれほどのズッコケはなかろうと思います。周りのスタッフの表情は再び鳩が豆鉄砲を食ったようでしたが、心の中では一斉につっこんでいたはずです。

親にとって子どもの入学式や卒業式はとても重要なものですが、彼が仕事を休んでまで出席するほどのものとはどうしても思えませんでした。

先週末に撮ったという、入学式用の服を着てランドセルを背負った子どもの写真を周囲に見せびらかしつつ「かわいいだろ」と連呼しています。

そういえば彼が子どもの話をするのを聞くのは初めてでしたが、人が一瞬で変身する場面を目の当たりにしたわけです。スマホの画面にチューしようとしたのは慌てて止めましたが。

子どもってそんなにかわいいものなのか…。

昨日だったら天気が良かったのですが、今日はあいにくの雨模様で風も強く吹いています。ただ桜は満開に近いので楽しい入学式になるのではないかと思います。

子どもか…私には無理かな。週末は入学祝いを買いに行こう。