電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

社長直属

「君たちのレポートラインはこれから私になります」

新規事業立ち上げチームのミーティングに顔を出したところ日本支社長が同席していました。チームは私を含めて元書籍編集部のメンバー3人で、いわゆる“社長直属”になります。

元書籍編集部のメンバーが集められていることでどのようなことをやろうとしているのか大まかな想像がつくのではないかと思いますが、日本支社長肝いりだそうです。

ただ、よくよく話を聞いてみると見通しが甘いと感じました。収益モデルや競合との比較、中長期的な計画にかなりの粗さが目立ちます。

それに磨きをかけて利益を上げるものに仕立てていくことが私の仕事になるわけですが、そこまでの熱意をかけてよいものかどうか大きな不安があります。

今回の日本支社長がいつまでいるか分かりません。今月、着任したばかりですが、来年のいまごろはいなくなっていても珍しくありません。

そして、次の日本支社長がこの新規事業を継続するとは限りません。むしろ、前任者の色を消すために真っ先につぶされるかもしれません。

しかし、少なくともいまはやらなければなりません。行政や日系のように悠長なことは言っていられません。すぐに金を生み出さなければならないのです。外資系ですから。

このチームに入ることを承諾していませんが、私に選択権はありません。「やれ。嫌なら辞めろ」― やるか会社を辞めるかのどちらか1つだけです。

もう何が何だか…。

いつも私は1人きりで、明日のために眠るだけです。1人で気を吐いて、張り詰めた神経を酒で無理やり抑えつけて、眠るというよりしばし意識をなくすだけです。

1度だけでよいので、私に向かってにっこりと目がなくなる笑顔を見せてくれることを望んだのは、それほど過ぎた願いだったのでしょうか。