電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

深い闇

本当のところを白状すると、八つ当たりでもあったのです。

今朝もふみちゃんを遠くから眺めていて、目がなくなる笑顔を同僚に向けていて、しかし私にその笑顔が向けられることは絶対にありません。

早く消し去りたい、しかしなかなか消せない届かぬ想いに虚しさを感じると同時に苛立ちをおぼえ、「何で自分だけこんなにつらいのか」という自己中心的な考えを一瞬持ってしまったのです。

「ずずずは怒るときも感情を表さなくて、“怒る”っていうこと自体が感情を表すことだから矛盾してるんだけど、本当に理性的だよね。でも疲れないか?」

本当の私は理性的などではないのです。好きな女性に想いが届かないことに苛立ち、それを勤務態度の注意にかこつけて派遣スタッフにぶつけてしまうような小物なのです。

表面的には何があっても顔色一つ変えない冷静な男に見られますが、実際はドロドロした感情が胸の中で常に渦巻いている情けない感情的な男です。

「僕はそんなできた男じゃないし、君が知らないところで吐き出しているよ」と笑ってごまかしたら「そんなずずずを見てみたいな」と。

ダメだよ、本性見たらあまりの醜さにこんな風に仲良く話したくなくなるよ…。

私が抱えている闇は、自分で思っている以上に深い気がしています。ふみちゃんという、まばゆい光のおかげでほんの少し消せたのが救いですが、今後一生、1人で抱え続けていかなければなりません。