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電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

見るんじゃなかった

電恋

午前9時15分 ― ふみちゃんが私のオフィスの前を通るころになるとつい席を立ってコーヒースペースに向かってしまいます。つらくなるだけだと分かっているのに。

しかし、今朝はふみちゃんの同僚の方が2人だけで、ふみちゃんがいませんでした。残念だと思いつつ、少しほっとしている自分がいます。

電車の運行情報を確認してみると、京急は平常どおりとなっているのですが、併走しているJRが遅れているようなので、振替の乗客で混雑しているのでしょう。

3~4分の遅れであればネットの運行情報に表示されません。ただ、京急が数分遅れると、会社の最寄り駅への大江戸線が1本、後のものになってしまいます。

いつもの電車でなければふみちゃんが何時に来るか分かりません。悲しいような嬉しいような、いや見ないほうがよいに決まっているので仕事に戻りました。

調べものをするために窓際にある資料棚に行き、ふと外を見てしまいました。そこにはふみちゃんがいました。風で乱れたショートボブを直しています。

見るんじゃなかった…。

目に入ってしまうと釘付けです。窓から身を乗り出して、後ろ姿に見入ってしまいました。すぐ近くにいるのに、私には何もできません。

付き合いたいなど大それたことを望んでいるわけではなく、毎朝「おはよう」と言ってもらえるだけでよかったのですが、それすら叶わず。日ごろの行いはそれほど悪くないと思うのですが。