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電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

金曜日の夜

金曜日の仕事帰りに待ち合わせて食事して、バーで飲んで、一緒に帰る ― 社会人になってから、1度でよいのでこういうデートをしてみたいとずっと思っています。

新聞記者時代は24時間365日気が休まるときがなく、曜日の感覚など失っていました。事前に「この日は早くあがれそうだ」と思っても必ず何かしら発生していましたし。

いまの会社に転職して編集者になってから比較的、穏やかな生活を送れるようになりました。もちろん、校了前などは激務ですが、外資系ということもあり、基本的にカレンダーどおりで働けています。

新聞記者は相手に振り回される仕事です。事件は記者の都合を考えて起きてくれるなどということはありません。起きることが事前に分かる事件などニュースになりません。

編集者とひと口に言ってもさまざまな媒体がありますが、私のような単行本の編集者は自分の裁量で何とでもなります。著者に振り回されることはありますが、こちらにボールがあるときはこちら次第です。

例えば、土曜日にやることにして金曜日の夜は早めに上がって彼女とデート、といったように自分で時間をコントロールできます。いつもこう上手くいくわけではありませんが、新聞記者よりはずいぶんマシです。

しかし、このような生活になったら今度は彼女がいないという難問にぶつかるわけです。ブサイクですが、新聞記者時代はこれでも彼女…と呼んでよいと思う存在がいました。

ただ、浮気された揚げ句に「新聞記者って友達に自慢できるから付き合ってただけで、忙しくて全然会えないし、そもそも顔だって全然タイプじゃないし」とこっぴどく振られました。

万人にモテたいなどと思っているわけでなく、たった1人でよいので私のことを好きになってくれる女性がいてほしい、というのはそれほど大きな望みではないと思うのですが、どうなのでしょう。

それを毎朝の通勤電車で一緒になるという非現実的な出会いの女性に、しかもふみちゃんのような美人に求めたのは身の程知らずだと思いますが、それでも自分から好きになった女性に好きになってほしいと思います。

今日は金曜日です。ふみちゃんは彼氏とのデートのために仕事をテキパキと片付けて、待ち合わせ場所に向かっているかもしれません。すでに待ち合わせて手をつなぎながらお店に向かっているかもしれません。

ふみちゃんが隣にいて、手をつないで並んで歩けたらいいのに…と空しい妄想をしたこともありましたが、それが現実になることはありませんでしたし、今後も絶対にありません。

ウェブチームのメンバーはすでに私以外、誰もいません。私は18時に編集アシスタントが帰ってからゲラを確認すべく、まだ残業です。17時過ぎまでウェブの仕事、18時から書籍の仕事です。

明日は土曜日だから遅くまで仕事して遅くに寝て、遅くに起きても大丈夫と考えてしまう私に金曜日のデートなど夢のまた夢でしょうか。