電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

重版出来

重版出来しました…が、できません。売れているタイトルで、増刷すればさらに売れることが分かっているのにできません。曲がりなりにもまだ出版社であるにもかかわらず、売れると分かっているタイトルを増刷しないとは。

ご存知の通り、弊社は年内いっぱいで書籍出版事業から撤退します。書籍編集部は完全にお荷物扱いで、著者との関係からどうしても出版せざるをえないタイトルを細々と制作しています。まさに敗戦処理中です。

とにかく書籍の売り上げを立ててはならず、増刷して在庫を抱えるなどもってのほかなのです。倉庫を縮小するために今夏、まだ店頭で販売中のタイトルの多くを断裁してしまいました。

いま増刷を検討しているタイトルは5月末に刊行したものです。株主総会に関連する内容で、刊行したときは今年の株主総会のピークを過ぎてしまっていたのですが、来年の株主総会に備えているであろう注文が増えているのです。

著者はこの分野で超有名な方で、この時期から企業が動き始めるであろうことを理解していて、営業が著者から書籍付きセミナーの相談を受け、集客が見込めるためセミナーを開催することになりました。

しかし、肝心の書籍の在庫がないのです…。

著者にしてみれば当然「それなら増刷しましょう」となるはずです。また、仮に1年前であればすんなり増刷の許可が下りたはずです。しかし、いまは増刷の「ぞ」とでも口に出そうものなら白い目で見られます。

そもそも、このタイトルも断裁しています。売れると分かっていて利益が得られるものを、なぜわざわざお金を払って捨てているのか。合理的なようでホント非合理です。

書籍出版事業からの撤退に関する対外的なアナウンスはまだです。上層部はあわよくば何も言わずに自然消滅させたいようですが、それは企業として誠実さに欠けています。タイミングを見計らうならまだ分かります。

著者には増刷できない理由を言えません。しかも、セミナーは年明けすぐに第一弾を予定しています。とりあえず倉庫にわずかに残っていたものや返品されたもの、オフィスに残っていたもので50部を確保しました。

セミナーは第二弾、第三弾と予定されており、株主総会が近づくにつれて集客は増えるはずです。50部などでは足りず、著者に正直に話すか増刷するかのどちらかですが、上層部はどちらも嫌だと言っています。ガキか!

「それなら増刷分が在庫にならないよう、すべて売り切れば文句はないな?」― 埒があかないため、詰め寄りました。上層部は「できるものならやってみろ」的な回答だったので、やることにしました。増刷します。

とりあえず200部、オンデマンドで印刷します。書籍付きセミナーで200人、集めなければなりません。もちろん営業がメインですが、私も新聞記者時代の人脈を使ってサポートします。

それにしても、上司に噛みつくなど外資系で最もやってはいけないことですし、もし在庫が発生しようものならクビになりかねませんが、構いません。一度、解雇通告を受けた人間ですから。

200人集めます!

※昨夜は取り乱してお見苦しいものをお見せして申し訳ありませんでした。我に返って削除しましたが、もし読んでしまった方がいたらスルーしてください。