電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

続・働く男

「私が担当させていただいている出版社でずずずさんのことを聞かれました」― 入稿データを引き取りにきた印刷会社の営業さんに言われました。

その出版社は弊社が取り扱っている分野で日本一のシェアを誇る老舗ですが、そこに私の知り合いは1人もいません。私のことを聞いてきたという人のことも知りません。それなのに私の名前を知っていたそうです。

「私がこちらを担当させていただいていることを知って、ずずずさんが担当している広告案件のことをまず聞かれて“担当者さんにはいつもお世話になっています”と言ったら根掘り葉掘り聞かれて」

合点がいきました。私が担当している例の広告案件は、この分野を取り扱う出版社にとって垂涎の的なのです。弊社の独自コンテンツで、1冊作ればかなりの利益を生み出します。

ただ、その分、担当者はものすごくキツいですし、その分野に関する知識や制作スキルはもちろん、進行管理や各方面への調整という、ありとあらゆる能力が求められます。

その会社の中で、その人にしかできない仕事などありません。「自分が辞めたらもうこれは2度とできない」などということはなく、代わりにやる人が出てくるものです。サラリーマンなど所詮、その程度です。

しかし、私が担当している広告案件について、これだけの短期間で、これだけたくさんの関係者全員に気を遣い、予算管理をしながらこれだけのクオリティで仕上げられるのは私しかいません。

期間さえあればできる、関係者に気を遣うだけならできる、クオリティを保つだけならできる、という人は他にもいると思いますが、これをすべて満たして制作できるのは私だけです。

自意識過剰でも勘違いでもありません。実際にそれだけのことをやっているという自負がありますから。これは絶対の自信を持って言えます。

私のことを聞いてきた出版社に限らず、この分野を取り扱うところはどこも同じようなことをやりたいと思っているものの、できる人間がいなくて困っていることを知っています。

その営業さんはもちろん、私の個人情報など喋らなかったそうですが、その人から私に渡してほしいと名刺を預かってきていました。こういう引き抜き的なものはどうかと思うのですが、肩書きを見ると…

「出版局長」

これはまたずいぶんと大物が。しかし、私みたいに自分の仕事のやり方が固まっている人間よりも、少し文章を書ける人間を採用して育てたほうが良いと思うのですが。

今日は外でタバコを吸っていたらライトアップとともにMISIAの「Everything」が流れてきました。またお昼のランチスペースでは契約社員の若い女の子たちがクリスマスの話題で盛り上がっていました。

仕事ができる男はモテるなんて言ったのはどこのどいつだ。チッ、今年も1人でテレビ見ながらケンタッキー食ってやる。