電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

梨のカクテル

学生時代に2年半、バーテンダーをやっていました。モテたいから単にお酒が好きだったからですが、文学作品においてお酒が重要な役割を果たしていることが多く、研究してみたいと思ったからでもあります。

例えば『老人と海』で知られるヘミングウェイといえば“ダイキリ”というスタンダードカクテルと言われるほどですし、日本では村上春樹が自身でジャズバーを経営していたということもあります。

本音を言えば、オーセンティックなバーのカウンターで1人で静かに飲むことがカッコイイと思っていたのです。大学生ぐらいだと、そういうものに憧れるではないですか。

大学生になってバイトを始め、少しだけ自分で自由に使えるお金を得るようになって、バーでお酒を飲むようになりました。そこから、いつの間にか作る側になっていたのです。

ところで、横浜市には「浜なし」と呼ばれる梨があります。梨の品種名ではなく、横浜市で認定された果樹生産者団体の統一ブランド名です。横浜を代表する隠れた名品の1つとされています。

“横浜”と聞くとオシャレな港町を思い浮かべる人が多いと思いますが、それは横浜市のごく一部にすぎません。私が住んでいるような下町もあれば、緑豊かな農地もあります。

親父の実家は横浜でいまどき珍しい農家です。土地持ちだった祖父が遺言状で数億円分の土地を私に相続させると書いたから遺産相続問題に巻き込まれているそして、親戚は浜なしの生産農家だったりします。

先日、親父から梨が送られてきました。親戚から送られてきたもののお裾分けです。帰宅してから毎日、食べているものの、一向に減りません。とても美味しいのですが、さすがに飽きてきます。

「そうだ、カクテル作ろう!」― 昨日、同僚とたまたまカクテルの話をしていたので、久しぶりにシェーカーを振ってピアノトリオでも静かに聴きながらカクテルを飲もうと思いついたのです。

早速、作ってみました。

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まっず!

「いつもの“うっま!”じゃねーのかよ」と思った人もいるかもしれませんが、不味いものは不味い。薄いだの濃いだのという問題ではなく、何か根本的に不味いのです。

梨をすりおろして、ジンを入れて、少しだけコアントローというリキュールを加えてシェーカーを振っただけなのに不味いというのは、狙ってできるものではありません。

ちなみに、今回は「ボストンシェーカー」と呼ばれるものを振っています。右が普通のシェーカー、左がボストンシェーカーで、フレッシュフルーツを使うカクテルでよく使用します。

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シェーカーを振るのは諦め、冷凍庫から出したジンは大人しくトニックウォーターで割りました。そして、久しぶりに飲んだジンのせいか、見事な二日酔いが出来上がりました。

“美味い料理と美味いお酒に釣られる食いしん坊な天使”と書こうと思ったのですが、“美味い料理”のみにとどめることにします。ただ、天使は常に募集しております。