カバーと表紙
日本で販売されている書籍には原則として「カバー」があります。タイトルや著者、出版社、価格、バーコード、ISBN、Cコード、レーティングなど、書籍を販売する上で必要な情報を記載するとともに、読者の目を引くデザインが施されています。
カバーは再販制度に基づくものです。書店から返本された際、カバーの交換だけで再び新品に近いものとなり、新たに流通させることができます。また、価格改定時や消費税率改定の際、カバーの差し替えだけで対応できるよう、価格はカバーにしか記載しません。
もちろん、書籍本体を保護するという役目がありますが、そもそも保護するのは再販を視野に入れているからです。洋書はカバーがないものが当たり前ですが、それは再販しないからです。
書籍にはカバーとは別に「表紙」があります。カバーを外すと現れる本文ページより厚い紙の部分です。カバーと表紙はまったく別物ですので、デザイナーさんとお話しするときは使い分けないといけません。
ただ、ついうっかりカバーのことを表紙と言ってしまうことがあります。「表紙お願いします」と言って「表紙はカバーが固まらないと…」とデザイナーさんに返されることがたまにあります。混乱させてしまって申し訳ありません。
このほか、書籍を開いたときに最初に目に入る「大トビラ」があります。書名や著者、出版社名が記載されたページです。デザイナーさんには通常、カバーと表紙、大トビラの3点を制作してもらいます。
ちなみに、デザイナーさんのお名前は奥付で「装幀」として記載します。「装丁」「装釘」などと記載されることもありますが、弊社では装幀です。これらの違いを書き始めると長くなるのでまたいずれ。
週明けに入稿する書籍のカバーが確定しました。あとは印刷会社から背幅の連絡をもらい、調整するだけです。全部お見せするといろいろなことが分かってしまうため一部のみですが、できたてほやほやのカバーをば。
本タイトルは、もしかしたら私がメインで編集を担当する人生最後の書籍になるかもしれません。そこまで大げさなことにならないよう祈りますが、ひとまず大満足のカバーが仕上がりました。
中身もいつも以上に細部までこだわりましたし、誰が読んでも面白いと思える内容になっています。たくさんの方に読んでいただきたいですし、ここでもご紹介したいのですが、私の会社に加え、私の本名まで分かってしまうので、それはさすがに控えたいところです。
もし読んでみたいという方がいれば、お問い合わせフォームからご連絡ください。個別にお教えします。ご連絡くださった方にはもれなく、ボツになった幻の縦組みレイアウトなど、編集の裏が垣間見えるものをプレゼントします。
売れるとよいな。