電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

名物

吉村家はどこですか?」― ちょうど帰宅時間に重なり、混雑する横浜駅で若いカップルに聞かれました。吉村家とはラーメン屋です。イントネーションに何となく関西弁のニュアンスを感じ、私もお腹が空いていたので案内がてら一緒に食べにいきました。

全国的に有名になった“家系ラーメン”なるものがあります。店名に「○○家」とついていることが多いことからそう呼ばれているもので、豚骨醤油ベースで太めの麺、海苔、ほうれん草、チャーシューがお決まりのラーメン屋です。

最近は飲食チェーンが豚骨醤油ベースのスープを真似て全国各地でなんちゃって家系ラーメンの店をオープンしていますが、吉村家というのはこれを最初に始めた店で“家系総本山”と呼ばれています。

横浜駅は別名“日本のサグラダ・ファミリア”と言われるほど、何十年も改良工事を続けています。地上への出口もしょっちゅう変わっており、毎日利用している私でもたまに「あれれ?」と思うことがあります。

そもそも吉村家横浜駅から少し離れています。私が聞かれた場所は横浜駅の中でも最も吉村家から離れたところで、どうがんばっても口で説明できないので同行したのです。

行ったことがある方ならご存知かと思いますが、吉村家は常に行列ができています。ただ、店員さんのオペレーションが抜群なので、パッと見はものすごい行列でも、15~20分ほどで案内されます。

並んでいる間にどこから来たのか聞いてみたところ、兵庫の明石市から観光に来たそうです。「私は明後日、出張で大阪に行くんですよ」「そうなんですか!」と盛り上がりました。

吉村家に来るのは私も数か月ぶりで、調子に乗って大盛りにキャベツをトッピングしてしまいました。お好みは定番の“(麺)固め、(味)濃い目”です。カップルもそれぞれ、お好みを伝えていました。

SNSにアップするためか、料理の写真を撮る人が増えています。吉村家ほどの有名ラーメン店ともなれば、ほとんどの客が写真を撮ります。ただ、それをよしとしない店もあるわけで、吉村家も「写真を撮るときは、ひと言お願いします」となっています。

カップルにはそれを事前に伝えておいたので、写真を撮る前に「撮ってもよいですか?」と聞いていました。私も便乗してブログに載せるように1枚、撮ってきました。

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数か月ぶりの家系総本山でしたが、「うめぇ…」としみじみ思いました。味濃い目など塩分過多でよろしくないのですが、たまに来たならよいかなと。なんちゃって家系ラーメンとは比べものになりません。カップルも「食べに来た甲斐がありました!」と大満足していました。

ただ、本音を言うと、家系ラーメンが横浜名物とされつつあることに違和感を覚えています。吉村家が開店したのが横浜であることは事実なのですが、横浜を代表するものがラーメンというところに疑問を感じています。

吉村家に限らず、“たかがラーメン、されどラーメン”で、全国各地のラーメン屋がしのぎを削り、素材や調理法など、高級店並みのこだわりを持っているところも少なくありません。

しかし、「でも何だかんだ言って、ラーメンだし…」というのが私の本音です。そもそも、吉村家だって最初に開店したのはガテン系を客と見込んだ場所でしたし。

吉村家にしてもすごくこだわりを持ってラーメンを提供しているのはよく分かるのですが、これを横浜代表としてよいのかどうか。厨房の奥から睨みを利かせていた社長がそんなことを望んでいるのかどうか。

横浜の人間にとって関西といえば“たこ焼き、お好み焼き!”なのですが、名物とは何だろうかと、ふと思ったのです。

でも、明後日はたこ焼き食べます (´▽`)