電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

後輩の最終出社日

紙媒体に未来はありません。悲しいことですし、認めたくないのですが、紙媒体に関わるどの会社も、過去の遺産を食いつぶしつつ売り上げの減少をどれだけ抑えられるかで精一杯です。新たな展望などまったく見えません。

もちろん、どの会社も手をこまねいているだけではありません。電子媒体への進出といった分かりやすいものから、紙媒体と映像、ウェブ、イベントなどを組み合わせたクロスメディアまで、あの手この手でもがいています。

しかし、どれもぱっとしていないのは言うまでもありません。私も新聞記者時代から何か良い方法はないかずっと考え続けていますが、情けないことに何も思い浮かびません。「まったく分からない」というのが正直な気持ちです。

昨夜、8月末で退職し、9月から中堅の出版社で勤務している元同僚から電話がありました。お互いの近況を伝え合ったのですが、元同僚曰く「厳しいであろうことは分かっていたが、想像以上だった」とのことです。

元同僚の転職先はこれまでさまざまなジャンルの雑誌をメインに刊行してきた出版社です。雑誌が売れなくなって何年も経ち、雑誌メインの版元がバタバタと倒産している中で、よくここまでしのいでいると思います。

ただし、じり貧であることには変わりなく、何か新しいことを始めなければならず、「う~ん…じゃあ書籍を作ろう!」ということになって、元同僚が書籍編集者として採用されたわけです。

新規事業を始めるということは既存事業がうまくいっていないということです。もちろん既存事業が好調のときから新規事業を手がける企業もありますが、そんなのはプロ経営者かイケイケのベンチャーぐらいでしょう。

出版社がそれまで何の接点もなかった新規事業など思いつきませんし、そもそもできません。雑誌から書籍へと手を広げることは必然です。しかし、売り上げ減を補うための新規事業として書籍出版を選択するのは危険です。

くどいようですが、紙媒体に未来はありません。未来がないものに未来を託しても、売り上げ減を補うどころか拡大させるだけです。しかし、手をこまねいているわけにもいかないので何かやらざるをえません。行くも地獄、残るも地獄です。

元同僚は、とにかく書籍編集者であり続けることと、会社の社員に対する人間味を求めて転職したので、自分から辞めるつもりはないものの、会社自体がいつなくなるか分からないと言っていました。

今日は後輩の最終出社日です。彼は10月から私の学生時代の先輩がいる出版社に移ります。そこは実用書から一般書、文芸書、児童書、コミック、雑誌まで扱っている総合出版社で、元同僚のところよりは安定しています。

wakabkx.hatenadiary.jpしかし、今年に入ってとある情報通信会社と業務提携しました。ただし、業務提携と言いつつ、立場としてはあちらのほうが上です。その会社は世間的には無名、先輩の出版社は老舗であるにもかかわらず、です。実質的には傘下に入ったようなものです。

後輩も、書籍編集者であること、紙媒体に携わることにこだわっていましたし、何よりクビ勧告からすぐ、しかもいまより規模が大きい版元に移れるということで大喜びしています。やる気も十分です。ただ、紙媒体は厳しいでしょう。

…と言いつつ、結局、私も紙媒体が大好きです。未来がない、じり貧であると分かっていても、やはり紙媒体に携わりたいと思っています。来年からオンラインメディアに異動し、しばし紙媒体から離れますが、いつか戻ることを目論んでいます。

元同僚が去り、後輩が去り、営業サポートに異動することになった同僚はフロアを移り、書籍チームは着々と解体されつつありますが、1人だけでも気を吐いて残るタイトルをコツコツと作り続けます。

それにしても過去記事を読み直してみると「ふみちゃんに頭をなでなでされたい」とか痛々しいな。いまごろ、まさかこんな状態になっているとも知らずに。