電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

アルコール依存症(その1)

私はアルコール依存症です。病院でそう言われたわけではありませんが、ウェブ上の簡易チェックなどでは「いますぐ病院に行きましょう」と判定されますし、そもそも病院に行けばアルコール依存症と認定されるのが確実なので行っていないだけです。

アルコール依存症とは、飲酒のコントロールができなくなることです。世間一般では“アル中”と呼ばれ、紙パックの日本酒や4リットルの安い焼酎で酔いつぶれて道で寝ているおっさんのような人を想像する方が多いのではないかと思います。

酒にだらしない人 ― アルコール依存症に対する世の中の認識はこれに尽きます。しかし、アルコール依存症はれっきとした病気です。しかも、心の病です。飲みたくないと思っても飲まずにいられないというのは、とても辛いです。

私がアルコール依存症になったのは新聞記者時代です。以前にも少し書きましたが、新聞記者にはアルコール依存症が多いのです。特に社会部や政治部、その中でも警視庁や国会の担当など激務のセクションであれば、ほぼ全員と言っても過言ではないと思います。

なぜ飲んでしまうのか。それは、眠れないからです。毎日、朝早くから夜遅くまで駆け回り、家に帰ったところでそう簡単に張り詰めた神経が緩むわけもありません。そういうときに手っ取り早いのが酒です。

アロマを焚いてぬるめのお風呂にゆっくり半身浴…そんな女子力高めのことをやっている時間はありません。家に帰っても3~4時間後にはまた取材に出なければならないのです。最重要課題はとにかく眠ることです。

もちろん、私の前の職場にもいました。支局に配属されたときの先輩で、とても仕事ができる人でした。初めて先輩と飲みに行ったとき、強い酒を水のように流し込んでいる姿を見て「この人、大丈夫かな?」と感じたことをいまでも覚えています。

その後、先輩は当然のごとく仕事ぶりが評価されて本社の政治部に異動になりました。スクープはもちろん、時間をかけて丁寧に取材したことが分かる良記事を連発し、私の取材先でも「この前の記事、良かったね」と先輩の記事の話になったりして、自分のことのように誇らしく思いました。

しかし、先輩が異動して1年後、アルコール依存症で入院したという話を聞きました。

長くなってきたので分けます(つづく)。