電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

美人、来襲す(その1)

「ずずずくぅ~ん、いまから家に行ってもい~い?」― 女性の甘ったるい声で起こされました。時計を見ると、まだ午前6時です。生返事をして、二度寝しようとゴロゴロしていたら30分後、チャイムが鳴りました。ホントに来やがった…というわけで、リビングのソファでいま半裸の女性が眠っています。

事実をありのままに書いただけなのですが、これだけ読むとインパクト抜群です。「えっ、彼女いたの?」「ま、まさか体だけの関係?不潔っ!」「都合良く貢がされているキャバ嬢?」という声がモニターの向こうから聞こえそうです。

結論から言うと、彼女ではありませんし、体の関係もありませんし、キャバ嬢に貢いでなどいません。友人です。私は、男女間の友情などというものは綺麗事だと思っていますが、彼女との関係は友情関係以外のなにものでもありません。もう2年ぐらいの付き合いでしょうか。

だって、彼女は男なんだもん…。

話がややこしくなりそうなので、ここでは「彼女」で統一させてもらいます。彼女は、見た目は女性、でも身体は男、いわゆるニューハーフです。身体は現在、工事中で、玉はないけど竿はある状態です。

何度か目にしていますし、先ほども目にしましたが、女性物の下着で股間が膨らんでいるというのは違和感が半端ありません。しかも、いまは黒のレースというセクシーな下着なので破壊力抜群です。

っていうか、せめてメイクは落とせと言ったのにそのまま眠りやがって。クッションに口紅やファンデーションがついてしまうではないか。それにしても、いびきが大きい。

彼女は北川景子に激似の美人です。たまに買い物に付き合わされると、強烈な視線を集めますし、すれ違う人がほぼ必ず振り返ります。「北川景子さんですか?」と聞かれたことも何度かあります。

初めて知り合ったとき、彼女は私の友人の彼女でした。紹介されたとき「すげー美人!っていうか北川景子?」と私も思ったものです。OLさんだそうで、見た目から性格がキツそうな印象を受けたのですが、私のようなブサイクにも優しく接してくれました。

「自分もこんな美人の彼女がほしいけど、自分みたいなブサイクには一生、縁がないだろうなあ」と世をはかなみました。友人もこんな美人の彼女ができて有頂天でした。

しかし、3か月後、別れたことを知らされました。あんなに美人で、あんなに喜んでいたのになぜなのか聞きましたが、「付き合ってみたら性格が合わなかった」という煮え切らないものでした。もう少し突っ込んで聞きたかったのですが、美人と付き合うのも大変なのか、ということで終わりにしました。

長くなってきたので分けます(つづく)。