電車の中の恋人

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あらためて「就社」と「就職」

久しぶりに会社からノートPCを持ち帰っていない週末です。ノートPCがなくてもwebからメールチェックできますし、チェックしたい衝動に駆られているのですが、今日は絶対にチェックしないと決めたのです。週末ぐらい仕事のことを忘れないとパンクしてしまいます。

ところで、たまたま私のブログを見つけた方から、外資系について質問をいただきました。いま大学3年生で、就職活動の準備をしているそうなのですが、「外資系は本当にそんな簡単にクビになるのですか?」とのことです。

結論から言うと YES です。日系と外資系の考え方は根本的に違う、っていうか全世界的に見て日系の働き方が独特なのです。日系の在り方が悪いというわけではありませんが、働き方においてもガラパゴス化しています。

以前『「就社」と「就職」』というものを書きましたが、日系と外資系の違いはこれに尽きます。日系は就社として所属する会社を選びますが、外資系は所属する会社はどこでもよく、自分の能力を提供できる職種を選ぶのです。

今日の昼間、たまたま親父から電話がかかってきて「親父の仕事を例にすると分かりやすいかも?」とふと思ったので、例に挙げて説明させてもらいます。私の親父はもう定年退職していますが、日産自動車の技術者でした。

例えば、日産がスカイラインGTRを担当する技術者を中途で採用したとします。スカイラインGTRといえば、レース活動にも参戦するなど、日産の技術の粋を結集したマシンです。それに携わる技術者であれば相当、優秀な人間です。

しかし「スカイラインGTRの開発、生産、これに伴うレース活動を中止します」と発表したとします。開発・生産費がかかる割に売れない、レース活動も会社のイメージアップにつながっていない、といった理由からです。

現在の日産の内部は外資系と化していますが、とりあえずパッと見は日系なので、ここでは日系とさせてもらいます。

このとき、日産であれば、中途で採用したスカイラインGTR担当の技術者を別の車の設計に異動させるでしょうし、当人もそれができるでしょう。スカイラインGTRの設計に携われるほど優秀な技術者であれば何をやってもできるはずです。

しかし、外資系であればクビです。「スカイラインGTRを担当する」という条件で採用したわけで、スカイラインGTRがなくなるということは仕事がなくなるということです。

「あなたはとても優秀だが、ここではスカイラインGTRのこと“だけ”をお願いしていたのであって、スカイラインGTRを生産しなくなるのだからあなたは不要です」― これが外資系です。

繰り返しますが、スカイラインGTRの設計に携われるほど優秀な技術者であれば何をやってもできるはずです。総務・人事などふつうの事務仕事もこなせるでしょうし、それこそ知識を活かして営業サポートなどもこなせるはずです。ただ、そのようなポジション、職種はないのです。だからクビなのです。

日系企業での経験しかない、また日系企業で働いている両親の姿を見て日系企業しか想像できないという人にはまったく理解できない感覚だと思います。「何て冷たいんだ!」と感じるでしょう。

しかし、見方によっては外資系の考え方のほうが良いのです。例えば、これまで技術一筋で生きてきた人に「技術職がなくなるけど、雇用は守るから、営業に異動して」と言って、当人に良いことなのかどうか。

その人、絶対に長続きしません。1年すらもたないかもしれません。慣れない営業が大変ということもありますが、「自分は技術一筋で生きてきたのだから、これを活かせるところにいきたい」と思うはずです。

遅かれ早かれ辞めることになるはずです。結局、辞めるのであれば、外資系のように「クビにするけど、会社都合だから特別加算金として当面のお金はあげるからね」と言われて辞めたほうが良いのではないでしょうか。

…自分で書いておきながら、何か荒んでるなあ。でも、これが現実なのです。外資系で働いている人はこうして何社も渡り歩いているのです。4社目、5社目など珍しくありません。ただ、あくまでもそれなりの年齢に達している人です。

しかし、日本だとそんなに何社も渡り歩いている人は何か問題があると見られてしまいます。それなりの年齢に達していても、です。だから一度、外資系にいってしまうと、二度と日系に戻れないのです。

新卒で外資系に入社したとします。給料は抜群に良いでしょうけど、仕事はきつくて長続きしないはずで、3年で辞めたとします。その次も3年サイクルで移っていったとして、30代前半ですでに4社目ということもありうるのです。

新卒時に日系の大企業に入れたのであれば、何としてもしがみついて、絶対に辞めるなと言いたいです。外資系は辛い。日系も辛いと思いますが、クビになることより辛いことはなかなかありません。

日本において一度しか使えない貴重な新卒というカードを無駄にしてはいけません。新卒で外資系はやめておいたほうがよいです。外資系はいつでもいけますが、日系の大企業は新卒のときしかいけないのですから。