電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

眩しすぎる

ふみちゃんから話しかけてくれないかな ― ここ最近、落ちているせいか、とても弱気かつ自分勝手になっています。私が勝手にふみちゃんのことを好きになっただけであって、ふみちゃんは私に特別な興味などなく、「何の関心もないのに何でお前のために話しかけてあげないといけないんだ」となることはよく分かるのですが、それでもこんなことを思ってしまうのです。

日本での書籍出版事業からの完全撤退と解雇通告を受ける前まで、私は自分の仕事にやりがいを感じていました。何十、何百万部というベストセラーになることはありませんが、私の担当タイトルは読者アンケートの返送率が高く、しかもきちんと読んでくれたことが分かる回答ばかりでした。

もちろん、良い意見ばかりではありません。

○○の部分について説明が足りない
全体的に中身が薄い
文字が小さく、行間も詰まっていて読みにくい
まったく役に立たなかった

など、凹む意見もいただきます。しかし、単に「良かったです」というひと言よりも、苦言を呈してもらうほうがありがたいと後から気付きます。悪い部分というのは、きちんと読み込んでこそ分かるものなのです。

いま「書籍で売り上げを立てるな」と言われています。完全撤退するのですから、書籍で売り上げが立ってしまうと米国本社に説明できなくなるのです。著者との交渉がこじれて、初版部数を減らしてうちから出さなければならない数タイトルについて、上層部は売れたら困ると思っているわけです。

ほかの事業では何としてでも利益を上げろと言っているにも関わらず、書籍は完全にお荷物扱いです。お金に違いはないのですから、どの事業で売り上げても良いはずなのに。

私は、うちから出さなければならないタイトルの制作をすべて1人で引き受けることになりそうです。すべの実作業をこなすのは無理なので、実作業は外注して進行管理など監督のような役を担うのですが、社内的には敗戦処理を一手に引き受けるわけです。大好きな書籍をやっつけ作業で制作しなければならないなんて泣きたくなります。

もし、ふみちゃんとおしゃべりできたら気分はかなり変わると思います。しかし、いまの自分には何の自信もないため、話しかけることなどできません。いまの自分に、ふみちゃんはあまりにも眩しすぎるのです。