電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

冷静な自分

「お前、うつ病になったときの自分を想像できるだろう?そういう自分を少し離れたところから眺められるだろう?お前は頭が良すぎるからうつ病にはなれないよ。“ならない”んじゃなくて“なれない”というのがポイントな」

学生時代の同級生に言われたことです。彼は心理学科を卒業してから別の大学の医学部に入学し直し、いまは精神科医をやっています。もう何年も会っていませんが、Facebookを見る限り元気にしているようです。

冒頭のことをいわれたのは大学4年生のときだったはず。いずれにしても、うつ病というものがいまほど世間に浸透しておらず、「何かやらかしそうなヤバいやつ」という印象しか持たれなかったころの話です。

ここ最近、気分がかなり落ちています。日本市場における書籍出版事業の完全撤退や自身への解雇通告、退職合意書へのサインの強制、自分以外の解雇対象者への強烈な退職勧奨、後輩の再就職探し、刊行中止となったタイトルの著者へのお詫び、シリーズ本の引き継ぎ、採用面接…ざっと挙げただけでも、心労が溜まって当たり前のことばかりです。

食欲も湧かないので、朝昼食べずに、夜もお酒を飲みながらポテチを少しかじる程度。また、身体は疲れているのに眠くならず、横になって意識がなくなったと思ってもすぐに目が覚め、時計を見たら3時間ぐらいしか経っていなくて、その後は一向に眠れず。

腹が減っているという感覚はあり、頭がぼーっとして眠りたいという気持ちはあります。しかし、何か食べたいと思いませんし、横になっても眠れません。さらに、ふみちゃんに会えてもまったく嬉しくありません。むしろ、なぜかイライラするぐらい。

心療内科にでもいってみたら「うん、うつ病ですね」と言われるはずです。ただ、見えるのです。こういう状況を少し離れたところからものすごく冷静な目で眺めている自分が。そして、この感覚を医者に説明するのはとても難しいのです。

彼はふだんの私をよく知っていたので分かったのだろうと思います。実は心がすごく乱れていてもそれを絶対に表に出さないように抑える、ものすごく冷静な私が見えていたはずです。「お前の人格形成の過程、面白そうだからちょっと調べてみたいかも」とまで言いました。人が悩んでいるのに面白がりやがって。

いまのように落ちることは学生時代から頻繁にありました。それでも精神科や心療内科に通ったことは1度もなく、今日まで過ごしています。私はうつ病になることはたぶん、ありません。なれないのだろうと思います。

いっそのこと「ボンッ!」と炸裂してしまったほうが楽なのかもしれませんが、そうして炸裂したときの姿が見えてしまいます。また、炸裂したときの姿を冷静に見ている自分が見えます。さらに「炸裂した姿を冷静に見ている自分が見える」と冷静に解説している自分がいま、います。

今日は午後から2人、面接です。今日もされる側ではなく、する側です。履歴書を拝見すると、2人とも20代後半の女性で、職務経歴書を見る限りでは結構、期待できそうです。不採用の連絡をするのも辛いので、この辺で決めてしまいたいところです。