電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

続・紙媒体

紙媒体の未来は暗いと思います。誰の目から見てもそうでしょうし、中にいる人間は痛いほど肌身で感じています。どれだけ詳細にシミュレーションしたところで、上向きになる要素が何1つとして見つかりません。

出版科学研究所という公益社団法人が毎年、出版物推定販売金額を発表しています。2015年の出版物売上高は前年比マイナス5.3%と過去最大の落ち込みを記録したそうです。特に雑誌は深刻で、書籍の前年比マイナス1.7%に対し、雑誌は前年比マイナス8.4%とのことです。2016年はさらにマイナスが加速していくことは確実でしょう。

別の出版社に転職が決まって9月末で退職する同僚と、契約を更新しないことを告げられている編集アシスタント、私の3人でお昼ごはんを食べにいきました。同僚は「自分はやっぱり紙媒体の制作、書籍の編集をやりたいから」と何度も口にしました。

同僚の転職先の出版社に対し、私は危険な雰囲気を感じています。創業57年の“老舗”といってもよい出版社ですが、これまで雑誌のみを発行していました。しかし、雑誌の売り上げが大幅に落ち込んでいるため、数年前から書籍を手がけるようになったそうです。

私が転職活動をしていたとき、雑誌のみを扱っていた出版社の採用試験を受けたことがありました。結果は不採用だったのですが、なんと1年後に倒産してしまいました。採用されて入社していたら…と、いまでもたまに思い出します。

実は同僚の転職先に同じニオイを感じているのです。そこは雑誌のみだと危ないと感じ、書籍出版事業を始めたのではないかと思いますが、書籍はすぐに成果を上げられるものではありませんし、そもそも成果が上がるような業界ではありません。

当たり前のことですが、出版社は出版のことしか分かりません。いきなりまったく関係ない新規事業などできません。書籍に手を出すことは必然とも言えます。しかし、右肩下がりの雑誌に、右肩下がりの書籍を加えるなど、雑誌だけのときと比べて、落ち込む速度が2倍になるのではないかと感じています。

ただ、すでに考えている書籍の企画や編集部の体制などを楽しそうに話す同僚を見ていると、私の気持ちは激しく揺さぶられます。本当にオンラインメディアでよいのか、自分も別の出版社に転職したほうがよいのではないか、考えが乱れます。

私は何がしたいんだろう ― いまのご時世、仕事があるだけでもよいことで、さらにオンラインとはいえ編集という好きな業務に携われるのに、これ以上、何かを望むことは贅沢なのかもしれません。ただ、本当にこれでよいのか。

気分を変えようと、昨日のふみちゃんが襟元を直す動作を思い出そうとしてもブラの肩紐しか思い出せません。煩悩退散!