電車の中の恋人

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続・記者と編集者

記者は人に嫌われる仕事、編集者は人に感謝される仕事―いまの出版社の採用面接で「記者と編集者、それぞれをひと言で表すと?」と聞かれた際に答えたことです。ちなみに、この質問をした方はいまの上司で、かなりデキる編集者です。

ひと口に「記者」といっても、さまざまなタイプがありますが、ここではひとまず私が経験した新聞記者を念頭に置きます。なお、私は大手全国紙ではなく、地方紙の元記者ですが、サツ回りや記者クラブ詰めなど、ひと通りのことは経験しました。

「ニュース」「スクープ」「特ダネ」など呼び名は変わっても、記者が追いかけるのは世の中で知られていないことであり、知りたいと思っている人はたくさんいるのに知らされていないことでもあります。

それはつまり“その情報を持っている人が表に出したくないと思っている、意図的に隠している”ということです。こっそり秘密にしていることを本人の了承を得ずに世の中に知らしめるわけですから、それはそれは嫌われます。

もちろん、必要最低限のマナーのようなものはありますが、知られたくないと思っていることを公表するのですから、良い印象を持たれるわけがありません。稀に「よくたどり着いたねぇ」と言って感心しながら取材に応じてくれる人もいますが、基本的には嫌がられます。

一方、編集者は、表現したいと考えている人に対し、プロデューサーとして下から支えていくことが仕事です。もちろん「昨日までという予定でしたが、いかがでしょうか」と原稿を督促するなど、嫌われ役も引き受けますが、1冊の書籍ができあがったときは必ず「ずずずさんのおかげです。どうもありがとうございます!」と感謝されます。

つまるところ、どちらも自己満足です。ただ、1人には嫌われつつも声は聞こえない何万の人に感謝される(と想像する)か、1人に直接「ありがとう」と言われるか、どちらに重きを置くかと問われたとき、私は後者のほうが良いと思ったので新聞記者を辞めました。

ちょこっと質問を受けたので、またもや真面目ぶって書いてみましたが、頭の中は二階堂ふみ似の彼女のことでいっぱいです。来週は大阪出張があるので、3日間しか会うチャンスがありません。やる気だだ下がりです。