電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

こんな話を…

今朝は通勤時間帯に雨と風がピークで、会社に着いたときにはズボンの裾も靴もびっしょりでした(都内の方にしか分からず、すみません)。湿度も高く、私の髪の毛はクルクルです。彼女を一目見たい反面、こんな姿を見られるのも嫌だなあと思いつつ、いやそもそもブサイクなのだからそんなことを気にする必要もないと1人でノリツッコミ。

幸か不幸か、彼女は今朝、いませんでした。土曜日と日曜日からの3連休、彼氏とお出かけか、いや女子会か、いやいや彼氏とデートだろ…という堂々巡りが頭の中でぐーるぐる。つまるところ、彼女が楽しく、元気でいればそれでよし。決して手の届かない、仮に届きそうでも、ブサイクは手を伸ばしてはいけないのです。

というわけで、たまには仕事の話でも。今日はここ数か月ほど難航続きだった担当書籍を入稿しました。「入稿」とは書籍の印刷工程に入ることです。つまり、校正を重ねた原稿を「もうオッケー!」という状態、いわゆる「校了」にしたわけです。実は、この後でも「白ヤキ」という状態で修正することもできるのですが、原則として入稿で編集作業は終了です。

あっ、自己紹介にも書いてあるように、わたくし出版社で書籍を作っています。しかも外資系という何だか一風変わったブサイクです。

今回の担当書籍は、とにかく大変でした。著者が忙しく、スケジュールを守ってくれない&「自分は絶対に間違えない」という自信に満ちあふれた方で原稿をきちんと見てくれない&なかなか連絡が取れない…など、近年まれに見る難航タイトルでした。

「著者」と聞くと、ほとんどの方は「作家」を思い浮かべるのではないでしょうか。村上春樹であったり、“半沢直樹シリーズ”の池井戸潤であったり、いわゆるプロの文筆家です。私もこの業界に入る前、そう思っていました。

しかし、世の中にはありとあらゆる書籍があります。例えば、プログラミングなどのITに関する書籍、政治・経済に関する書籍、美術に関する書籍、料理に関する書籍、自動車に関する書籍…など、挙げればキリがありません。

そういったものをすべて「作家」が書いているか。そんなわけがありません。それらの書籍は、その分野の専門家が書いています。言い方を変えれば、その分野では専門家であっても文章の専門家ではない、ということです。つまり、文章が下手。

一読者の視点で原稿を読みつつ、文章が分かりにくい箇所を指摘して直してもらいつつ…を繰り返して、ようやく1冊の書籍が出来上がります。ここ、ものすごーく簡単に書いてしまいましたが、実際はもっと大変な作業を繰り返しています。この辺は書き始めると長くなるのでまた別の機会に。

出版社は営利企業です。年間に○冊出したらこれぐらいの売り上げで…ということを計算しています。そのために、○月にこのタイトルを出して売り上げがこのくらいで…という細かい計算をしています。もし、このスケジュール通りに刊行できなかったら売り上げが立たず、大変なことになってしまいます。

正直言って、今回の担当書籍は刊行月をスリップすると思っていました。しかし、5月末から土日もフル稼働して何とか今日の入稿に間に合いました。今月下旬に書店に並びます。良かった。。。

こんな話を彼女とできたらいいな、と思います。彼女はどんな仕事をしているのか分かりませんが、決して楽ではなく、私とは違う種類の大変さがあるはずです。お互いの大変さを話しつつ、自分にとっては初耳の苦労を聞いて、それを自分の仕事に役立てる…そんなことができたら毎日の仕事も変わってくるのかもしれません。

でも、それは無理な話。こうして毎日1人、つぶやくのです。