電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

親孝行

自分が歳をとれば親も歳をとる ― 当たり前のことですが、親はいつまでも元気で亡くなることなどないと思ってしまうのが子です。

…先に書いておきますが、親が亡くなったといった暗い話ではなく、症状が軽いうちに自分から病院に行ったという、しっかりした親の話です。

私の親父はずっと糖尿病を患っていますが、手術を要するような大病を患ったことはなく、常に元気だと思っていました。

日産自動車の技術者として定年まで勤め上げ、姉をプロのレーサーに育て、私を私立大学まで進学させてくれました。

定年退職後に「本当はずっと前からホンダの車に乗りたかったんだ」と言ってインテグラのタイプRを買ったのはここだけの話です。

そんな親父が脳梗塞で病院に担ぎ込まれたのが昨年の8月でした。ただ、そのときも自分でタクシーを呼んで病院に行くという、しっかりした人でした。

そのときは後遺症も残らず、短期間で退院して自宅療養に移りました。朝晩の愛犬の散歩を欠かさず、年末に実家に帰ったときは入院前とほとんど変わりませんでした。

そんな親父が「何だか胸元に違和感がある」と言ってやはり自分で病院に行き、心臓の血管が詰まりかけているとの診断を受け、そのまま入院したのが先月でした。

ブラックジャックにお願いしなければならないような難手術ではありませんでしたが、患部が心臓付近ですので、先月から何度か仕事を休み、実家に通っていました。

明日(日付変わって今日)、術後の経過や検査結果の説明を受けるために、仕事帰りにそのまま実家に来ました。明日は母親と一緒に病院に行きます。

私の実家は神奈川県の厚木市というところです。生まれは横浜ですが、小学校に入る前に厚木に移り、大学卒業まで厚木で過ごしました。

現在、私は横浜、姉は神奈川県の平塚市というところに住んでいますが、同じ神奈川県内ですし、車なら30~40分で行ける距離です。

親父も母親もずっと元気でいることなどなく、ほぼ必ず私より先に亡くなるはずです。いつまで親孝行できるのでしょうか。

親父は家庭を顧みない仕事人間ではありませんでしたが、平日に会社に行かずに自分の世話をしに来る私に渋い顔をするでしょう。

しかし、大丈夫。今日は会社からPCを持って帰ってきましたし、ネットに繋げられれば病院でも仕事ができます。

そのくせ先日、病室で仕事していると「こんなところでまで仕事するなんて、お前はなんて忙しない生活をしているんだ。早死にするぞ」という矛盾したことを言います。

病院のベッドで横になっている人が「早死にするぞ」なんて、これほど説得力がない話も珍しいし。アンタ、とりあえず酒とタバコをやめて、看護師さんのお尻を触ろうとするのはやめてくれ。子は恥ずかしいんだよ。

この親にしてこの子あり。ただ、親父も姉もモテる、母親も昔はモテたらしい(叔母・談)にもかかわらず、家族の中で私だけモテないのはなぜでしょう。やはり、橋の下で拾われたのでしょうか。

目を奪われる見出し

短いとは言えないものの長いとも決して言えないこれまでの人生のうち10年間を費やした日々の習慣はそう簡単に抜けません ― ニュースチェックです。

私は約10年間、新聞記者でした。新聞は全国紙・地方紙問わず、情報系サイトまで目を配り、見落としていたり抜かれたりしているニュースがないか常にチェックしていました。

編集者に転向し、新聞記者時代ほどニュースに神経を尖らせることはなくなったものの、それでも手が空いたときのニュースチェックを止めることができません。

『明治「R-1」新妻さおりんCMが支持されたワケ』― いつものようにニュースをチェックしていたところ、見出しに目を奪われました。東洋経済の記事です。

toyokeizai.net9時15分過ぎになるとヤフー路線で電車の運行状況をチェックし、京急が遅れていなければ窓際に行って外を見下ろす生活をいまだに続けています。信号待ちするふみちゃんを1~2分、眺めるだけです。

ふみちゃんと一緒の電車に乗っていたころ、ふみちゃんはいつも同僚2人と3人でした。それが、去年の春ごろから1人減って2人になり、年明けからもう1人減っていまではふみちゃんだけになりました。

たまにふみちゃんが1人だけのとき、おしゃべりしながら出社できたらどれだけ幸せだろうと思ったことが何度もありましたが、望むべくもありません。

ふみちゃんのことについてはいまだに応援してくださる方ばかりですし、それはとてもありがたいことです。しかし、ふみちゃんにとっては見ず知らずの男から勝手に思いを寄せられて迷惑なことであるはずです。

ふみちゃんもいつかそこからいなくなります。好きになった女の子がこれから幸せになってくれることがせめてもの私の願いです。

目がなくなる笑顔

ふみちゃんに会いたい ― こんなことを思ってはいけませんし、もう何を望むこともいけないのですが。

新聞記者、編集者と、私はこれまで恵まれた仕事環境にあったと思います。やりがいをもって毎日、取り組むことができていました。

もちろん、そのためにたくさん努力しました。「一目置かれるようになりたいけど、努力はしたくない」などと言うほど甘ったれではありません。

しかし、努力だけでは何ともならないことが多々あるのが大人の世界です。努力すれば何とかなるのであればいくらでも努力しますが、その気力を失いつつあります。

せめて毎朝の電車でふみちゃんの目がなくなる笑顔を眺めることができれば…と思うのですが、それは叶わぬ願いです。

今日も昨日と何も変わらぬ1日でした。いや、嫌なことがあったから昨日とは違います。良いことなどなくてもよい、せめて悪いことは起こらぬよう。


山崎まさよし One more time , One more chance